スポーツ

複数箇所の砂使う甲子園の土 天候や風向等で調合変えていた

 阪神タイガーズの本拠地として、さらに高校球児の聖地として多くの野球ファンを魅了する甲子園球場は、日本でも数少ない天然芝使用の野球場。試合に敗れた高校球児たちが甲子園の土を持ち帰る姿はおなじみだが、その“土”ついてのエピソードを、スポーツライターの永谷脩氏が綴る。(文中敬称略)

 * * *
 甲子園・高校野球の取材は、大体は新米記者が行なう。私も駆け出しの頃、『少年サンデー』で甲子園の連載を担当していた。取材を終え、挨拶をして帰ろうとすると、名物グラウンドキーパーの藤本治一郎に「若いの、ちょっと待っとれ」と声をかけられ、「甲子園テニスクラブ」の近くにあったおでん屋に誘ってくれた。「甲子園の土」はどこから持ってくるのかという企画で、藤本に質問をした日の帰りだった。

 当時、甲子園の土は鳥取の黒土と芦屋浜の砂土を混ぜ合わせて作られていた。天候や風向、温度によって調合を変えており、甲子園のグラウンド状態の良さは、プロの選手の間でもつとに有名だった。

 1997年のことだったか、イチロー(現・ヤンキース)人気で湧いたグリーンスタジアム神戸(現・ほっともっとフィールド神戸)で試合途中に大雨が降り出した時、オリックスの選手たちが、「ここは甲子園と同じ阪神園芸(の管理)だから水はけがすごくいい」と自慢げに話していたのを覚えている。藤本はこう語っていた。

「そらそうよ。ワシらは仕事に命をかけとるさかい、台風が来たときでも、家より甲子園が気になって足が球場に向く」

※週刊ポスト2013年8月30日号

関連キーワード

トピックス

野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
川道さら
【「今日好き」で大ブレイク】20歳を迎えた川道さらが語った仕事への思い「お酒で体重増えたから毎日9~10㎞走っています」
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン
決勝の相手は智弁和歌山。奇しくも当時のキャプテンは中谷仁で、現在、母校の監督をしている点でも両者は共通する
1997年夏の甲子園で820球を投げた平安・川口知哉 プロ入り後の不調について「あの夏の代償はまったくなかった。自分に実力がなかっただけ」
週刊ポスト
真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン
中居正広氏の騒動はどこに帰着するのか
《中居正広氏のトラブル事案はなぜ刑事事件にならないのか》示談内容に「刑事告訴しない」条項が盛り込まれている可能性も 示談破棄なら状況変化も
週刊ポスト
離婚を発表した加藤ローサと松井大輔(右/Instagramより)
「ママがやってよ」が嫌いな言葉…加藤ローサ(40)、夫・松井大輔氏(44)に尽くし続けた背景に母が伝えていた“人生失敗の3大要素”
NEWSポストセブン
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
【観光客が熊に餌を…】羅臼岳クマ事故でべテランハンターが指摘する“過酷すぎる駆除活動”「日当8000円、労災もなし、人のためでも限界」
NEWSポストセブン
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《金メダリスト・北島康介に不倫報道》「店内でも暗黙のウワサに…」 “小芝風花似”ホステスと逢瀬を重ねた“銀座の高級老舗クラブ”の正体「超一流が集まるお堅い店」
NEWSポストセブン
夏レジャーを普通に楽しんでほしいのが地域住民の願い(イメージ)
《各地の海辺が”行為”のための出会いの場に》近隣住民「男性同士で雑木林を分け行って…」 「本当に困ってんの、こっちは」ドローンで盗撮しようとする悪趣味な人たちも出現
NEWSポストセブン