野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「クマに銃を向けた時、『これは手を出してはいけないモノに手を出したかも』と強烈な死の恐怖がよぎりました」──自身の体験についてこう語るのは、都内で飲食店を経営する40代の男性だ。この男性は昨年10月、北海道・平取(びらとり)町へ狩猟に出向き、およそ170センチのヒグマを狩った。彼が眼前にした、野生のヒグマの恐怖とは──。
北海道や東方地方を中心に相次ぐクマによる人的被害。ことし4月から7月末までで、クマが絡むけが人や死亡者は55人にのぼり、年間の被害者数が過去最多の56人となった2023年度を超える勢いだ。
増加するクマ被害と“駆除クレーム”
クマ被害の増加にともなって目立つのが、問題行動が見られた個体を駆除した際に行政に殺到する“クレーム”だ。地元住民はクマによる危険が排除されることを是とする一方で、「クマを殺すべきではない」と考える人も一定数いる。
「7月12日に北海道福島町の男性を死なせたヒグマの駆除に対して、道外を中心に役所へ200件以上のクレームが寄せられた。『クマ殺し』『無能』など心無い言葉を投げかける人や、『かわいそう』などとクマに同情を寄せる人、2時間以上、電話口で苦情を言い続けたケースもあったといいます」(全国紙記者)
羅臼岳で登山中の男性(26)がヒグマに襲われて亡くなり、親子グマ3頭が駆除されたが、管轄の斜里町役場に100件以上の苦情(18日時点)が寄せられているという。
都市部で生活する人にとっては、クマの危険性がなかなか想像できないこともあるだろう。しかし冒頭の男性ハンターは「やつらは想像以上に恐ろしいし、頭もいい」と訴える。