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淡路恵子 働く女性に「個性生かせ」、最近は病床でドラクエ浸け

 パートで働く既婚女性が世の中には651万人いるといわれるが、女優の淡路恵子さん(80才)が“働く女性”について語る。

 * * *
 こないだ何かで聞いたけど、主婦の家庭の仕事をお金に換算すると年収1280万円になるんだって。すごいよねぇ。年収1280万円の仕事ですよ。おろそかにしちゃだめなんだと思うわよ。

 外での仕事も大切。だけど家の中を忘れちゃだめってことよね。そういう意味じゃ、私はずっと外で働いてたから、実はちょっと後悔してるの。女が働くってことは今も昔もやっぱりすごく大変なことよね。

 今の私の仕事? まずは休むことです。この年で腸に腫瘍が見つかる大病しちゃったでしょ。手術で摘出して、今は病院でリハビリよ。このインタビューだって特別なんだからね。

 働いてきて気づくことはたくさんありました。まず、働く母の背中は子供に見られてる。いい意味でも悪い意味でもちゃーんと見てる。

 ほら、私は錦之介さん(夫・萬屋)の借金があったから、返済のために若いころは夜のお店でマダムとして働いてた。今考えると笑っちゃうくらい、当時はけっこう頑張ってたわけ。

 でもさぁ、夜の仕事でしょ、お化粧して、きれいな服を着て出てくわけでしょ。そうするとある日、四男がさぁ、「母さんは毎晩きれいにお化粧して遊びに行っている」って、そう思ってるって言うじゃない…。ショックよねぇ。「こっちは必死なの!」って言いたいよね。

「エプロンしてお皿洗って、そればっかりが仕事じゃないんだから」って言いたい。もちろん言いやしないよ。父親似の四男の顔を茫然と見るだけ。なんにも言えなかったよね。

 でもね「哲史くん、それは違うよ」って、長じてからいろんな人に言われるようになって本人も気づいたんだろうね。

 大人になってからはそんなことは言わなくなったし、逆に「母さん、いろいろありがとう」って言ってくれるようになったわよ。私の場合、仕事が女優だから、時給いくらで働いたことはないけど、世間にはいろんな仕事があるわけでしょ。

 みんなその中で生きているわけで、それぞれの個性があるわけじゃない。今は学校の教育にしてもそうだけど、はき違えた平等がまかり通ってるでしょ。なんでもかんでも平等平等って。でも、人間って平等じゃないよね。

 できる子もいればできない子もいる。逆にいうと、勉強できなくても足が速い子っているでしょ。個性よね。仕事だって個性を生かすようにできたら本当はいいんだよね。

 私の場合は個性の生かし方が女優に向いてたってことかな。まぁいろんなことがあったけど、この年になるまで働かせてもらって幸せよ。女優って、生きてることが仕事みたいなもんだから。長くやってるといろいろといいこともあるのよ。

 11月9日から『四十九日のレシピ』って映画が公開されるけど、このなかで私、主人公の永作博美さん(43才)のおばさん役で出てるの。石橋蓮司さん(72才)なんかもご一緒してるのよ。

 で、石橋さんがね、「ぼくの年になっても、お姉さんって呼べる女優さんがいてくれることがうれしい」って、そんなこと言うの。それもこれも、長くやってるからよね。仕事って、そうして長く続けると何か発見があるのよ。ふれあいとか、喜びとか。

 最近は? 病気して体が弱ってるから、病院のベッドの上でドラゴンクエスト浸けよ。

※女性セブン2013年11月14日号

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