国際情報

金正男氏 現在中国の軍事基地内施設で24時間厳戒態勢下に

 北朝鮮のナンバー2で親中派と目されていた張成沢・元国防委員会副委員長が昨年末、処刑されたが、これは中国にも予想外のことで、不安定な中朝関係を象徴している。これは習近平指導部による対北朝鮮外交の失敗を示しており、かつて「唇と歯の関係」「鮮血で固められた友誼」といわれた強固な同盟関係は崩れ、むしろ両者の憎悪の感情がむき出しになっている。

 北京の外交筋によると、張氏の逮捕、処刑は事前に中国に知らされていなかった。張氏は何度も中国を訪問し、一昨年8月には胡錦濤・国家主席と会談するなど、北朝鮮指導部のなかでは中国最高指導部と太いパイプをもつ親中派の筆頭。北朝鮮の東海岸の羅先と中朝国境にある黄金坪の2つの経済特区の創設について中国側と協議するなど、北朝鮮の改革・開放を推進したい中国側の意向に沿った改革に強い意欲をみせていた。

 その矢先の処刑は中国にとって最悪の結果だった。張氏の罪状の1つには、「商取引を通じて国家の利益を外国に売り渡した」ことが挙げられており、名指しはないものの明らかに中国を指している。

 そのため、張氏側近で、ともに副首相を兼ねる盧斗哲・国家計画委員長と李務栄・化学工業相の2人が中国に亡命を申請し、中国当局が保護。両氏とも経済改革を主導してきた親中派幹部だ。同じく張氏の側近で親中派幹部とみられた2人の朝鮮労働党副部長はすでに処刑されており、金正恩・第一書記の怒りは中国指導部に向けられている。

 同筋によると、金第一書記は張氏が逮捕された直後に開かれた内部会議で、「中国は兄の金正男を支援して父・金正日総書記の後継者である我が政権を転覆しようとしている」などと激しく非難。正男氏は13年初めから中国指導部の庇護の下、北京に居住していたが、張氏処刑を受けて、現在は地方の軍事基地内にある幹部の宿泊施設に移され、24時間の厳戒態勢下にある。

■文:ウィリーラム 翻訳・構成/相馬勝

※SAPIO2014年3月号

トピックス

田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(中央)
《父・修被告よりわずかに軽い判決》母・浩子被告が浮かべていた“アルカイックスマイル”…札幌地裁は「執行猶予が妥当」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま入学から1か月、筑波大学で起こった変化 「棟に入るには学生証の提示」、出入りする関係業者にも「名札の装着、華美な服装は避けるよう指示」との証言
週刊ポスト
藤井聡太名人(時事通信フォト)
藤井聡太七冠が名人戦第2局で「AI評価値99%」から詰み筋ではない“守りの一手”を指した理由とは
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン