問題はそのあとの対応である。この記事は朝日の読者からの「本当に誤報だったのですか?」という質問に答えている。
〈今回問題となった個所については、当該教科書の「原稿本」が入手できなかったこと、関係者への確認取材の際に、相手が「侵略→進出」への書き換えがあったと証言したことなどから、表の一部に間違いを生じてしまいました〉
社会部長という現場の総責任者が、取材相手に責任転嫁している。こんな言い訳が通用するわけがないだろう。こうしたごまかしを繰り返してきたのが、朝日なのだ。
かつては中国の文化大革命を手放しで褒めていたのに、虐殺と飢餓で何千万人という人々が犠牲になったことが分かってくると、毛沢東主義については何も言及しなくなった。過去の記事を訂正するのではなく、ただ言わなくなっただけだ。靖国参拝問題をことさらに煽り立て、中国に提供したのもそうだ。
韓国の朴正熙(パク・チョンヒ)政権、いまの朴槿惠(パク・クネ)大統領の父親の軍事政権時代には、北朝鮮については礼賛する一方、韓国には否定的だった。しかしこれも、拉致問題が明るみに出るや、手のひらを返したように朴正熙政権を評価し出した。
こうしたごまかしを繰り返した結果、慰安婦問題や南京問題のような捏造やデマが、中国や韓国に利用されるようになった。両国が抱える国内問題の矛盾から目を逸らすための反日に、朝日は使われているのだ。
自分たちの「正義」の誤りを認められない朝日は、「嫌中憎韓」を批判するより、自己を反省すべきではないか。
※週刊ポスト2014年3月7日号