国際情報

中国で腐敗の捜査対象になった幹部54人が不自然な死因で死亡

 習近平が就任直後から腐敗撲滅キャンペーンを展開したことで、党政府の腐敗幹部が次々と取り調べを受け失脚、軍幹部もその例外ではなかった。ジャーナリストの相馬勝氏が解説する。

 * * *
 習近平の腐敗撲滅キャンペーンが政治的に大きな波紋を広げるなか、経済活動にも徐々に悪影響が出始めている。中国青年報によると、昨年1月から今年4月までに、捜査対象になった幹部54人が「不自然な死因」で死亡しており、このうちビルから飛び降りた8人を含む23人が自殺だった。

 清廉な幹部までも「明日は我が身か」と戦々恐々として日ごろの仕事が手につかなくなり、経済プロジェクトを中心に目標達成率が急減するなど経済効果ががた落ちになっている。
 
 李克強首相は7月の国務院(内閣)幹部会議で、「いくつかの地方や部門は仕事の手配は大切にするが、実施するときは手抜きをする」「難しい案件だと、避けて通る」などと怒りをぶちまけた。
 
 米大手金融機関、バンク・オブ・アメリカ香港支店の陸挺グレーターチャイナ経済圏部門トップは、この影響について「中国の今年の国内総生産(GDP)の伸び率を0.6%から1.5%減少させている」と分析。米大手債券格付け機関ムーディーズのマーク・ザンディ・チーフエコノミストも「GDPの2%減」と予測する。
 
 これを裏付けるように、今年上半期(1~6月)決算では、中国の上場企業366社が赤字となり、中間期として過去最多を記録したほか、中国工商銀行や中国建設銀行など5大国有銀行の不良債権総額は前年同期比で21%増の4234億9000万元(約7兆2000億円)と過去最大となった。また今年8月の製造業景況感が悪化し、5月以来、3か月ぶりの低水準だった。

※SAPIO2014年11月号

関連キーワード

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン