世界一の洋上大橋を目指す香港・珠海・マカオ大橋の建設計画に暗雲が漂ってきた。すでに、工事は2009年に始まっているが、ここにきて、香港側の予算が当初よりも大幅に超過し、100億香港ドル(約1500億円)もオーバーすることが分かったためだ。しかし、ここで止めるわけにはいかず、完成時期を大幅に遅らせて、工事を進行させるとの案が浮上している。香港紙「太陽報」が報じた。
香港珠海マカオ大橋は香港国際空港があるランタオ島を起点として、珠江の河口からY字型に分かれ、一方は中国広東省珠海に、もう一方はマカオに到達し、全長は約50キロメートルと完成すれば世界一長い洋上大橋となるという。
橋は片側3車線(計6車線)の自動車専用道路で、香港側は市街地と香港国際空港をつなぐ北ランタオ高速道路と連結。
一方、マカオと珠海の近くは埋め立てられて、2.62平方kmの人工島を建設して、東西にマカオと珠海へと分かれる。設計耐用年数は120年で、工期は当初7年間を見込み、完成はいまから2年後の2016年となる予定だった。
着工から4年が経過した昨年12月初めには、南シナ海上の2基の橋脚の間に、長さ83.5メートル、幅16.3メートル、中心梁高4.3メートル、重さが1900トンもある合成梁が初めて設置され、今後は海上の橋脚に順次、合成梁がかけられる予定だった。
ところが、香港政府が今年夏、橋の部分だけでなく、出入境ゲートなど税関部門やランタオ島内の付随施設なども含めた建設計画にかかる費用を再び計算したところ、1000億香港ドル(1兆5000億円)の予定が少なくとも100億香港ドル(約1500億円)超過することが分かった。
大型プロジェクトの場合、建設費用が当初見積もりよりも超過することはよくあるケースだが、香港では香港国際空港と市中心部、さらに広東省深セン空港を結ぶ高速鉄道プロジェクトや、香港中心部と深セン市中心部を高速鉄道計画などのビッグプロジェクトが目白押し。しかも、いずれも計画がずれ込んでおり、これ以上の予算超過は、市民から批判を受けるのは必至。
とくに、9月下旬から民主派学生らによる市内中心部の座りこみデモで経済活動が打撃を受けているときだけに、香港指導部の対応のまずさに一層批判が集まりそうだ。