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《昨年は騒動に発展》MLBワールドシリーズとNPB日本シリーズの日程が“まるかぶり” NHKがワールドシリーズ全試合放送することで新たな懸念も浮上 

MLBワールドシリーズに出場する大谷翔平(写真/Getty Images)

MLBワールドシリーズに出場する大谷翔平(写真/Getty Images)

 ドジャース大谷翔平選手の出場で注目を集めるMLBのワールドシリーズ。その日程とNPBの日本シリーズがまるかぶりとなった。昨年は、テレビ放送を巡ってフジテレビがNPSから取材パスを没収される騒動に発展。今年はワールドシリーズの全試合をNHKが放送、日本シリーズは民放各局が持ち回りで放送するが、今年は昨年のような問題は起きないのか、懸念材料はないのか。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。 

* * * 

 日本時間25日、アメリカ・メジャーリーグベースボール(MLB)のワールドシリーズが開幕します。 

 対戦カードはロサンゼルス・ドジャースVSトロント・ブルージェイズ。ナショナルリーグチャンピオンシップシリーズでMVPを獲得した大谷翔平選手を筆頭に山本由伸選手、佐々木朗希選手の所属するドジャースが勝ち上がったこともあって、シーズンのクライマックスにふさわしい盛り上がりが期待できるでしょう。 

 注目はワールドシリーズだけでなく、まったく同じ日程で日本野球機構(NPB)の日本シリーズが行われること。どちらも4戦先勝の最大7戦で、25日―第1戦、26日―第2戦、28日―第3戦、29日―第4戦、30日―第5戦、11月1日―第6戦、2日―第7戦で日程が組まれています。 

“日米の日程まるかぶり”は3年連続であり、野球ファンにとってはおなじみの状況と言っていいでしょう。ただ、昨年は大谷選手と山本選手が初めてワールドシリーズに出場したこともあって野球ファンのみならず日本中の人々が熱狂。その結果、中継のあり方、放送局のモラル、NPBの姿勢など、いくつかの点で物議を醸しました。 

 あらためて昨年はどんなことで物議を醸したのか。そして今年はそれが繰り返されるのか。読み解いていきます。 

フジテレビがまさかの1日2回放送 

 昨年を振り返ると、ワールドシリーズではロサンゼルス・ドジャースとニューヨーク・ヤンキース、日本シリーズでは福岡ソフトバンクホークスと横浜DeNAベイスターズが対戦。前者は4勝1敗でドジャース、後者は4勝2敗でベイスターズが制しました。 

 どちらも熱戦であり、選手のプレーなどにはもちろん問題はありません。 

 物議を醸した最大の理由はテレビ放送。ワールドシリーズは主に朝の9時台、日本シリーズは夜の18時台から試合が行われ、どちらも生放送されました(ワールドシリーズは全戦フジテレビ、日本シリーズは民放各局が持ち回りで放送)。 

 賛否の声が飛び交ったのは、ワールドシリーズを放送するフジテレビが夜の時間帯にもダイジェスト版の再放送をしたこと。それぞれ第1戦―26日19時~21時、第2戦―27日19時~19時58分(衆院選当日のため短縮)、第3戦―29日17時48分~18時30分(この日はフジテレビが日本シリーズを生放送するため夕方に前倒し)、第4戦―30日19時~20時54分、第5戦―31日19時~20時54分に再放送したのです。 

 つまり、「朝と夜の1日2回ワールドシリーズを放送」し、さらに「夜は日本シリーズの裏番組になった」ということ。NPBはこの編成に「信頼性が著しく毀損された」としてフジテレビの日本シリーズ取材パスを回収。フジテレビは日本シリーズの取材ができない状態に陥ったほか、のちに同局が放送予定だった日本シリーズ第3戦の許諾を変更しようと他局やスポンサーに調整していたことも明かされました。 

 しかし、公正取引委員会はこれを「独占禁止法違反(不公正な取引方法・競争者に対する取引妨害)の恐れがある」としてNPBに再発防止を求める警告を発出。一方、NPBは「まったくの事実誤認」などと反論しつつも、今後は類似ケースが発生しても取材パスの回収などは行わないことを決定するなど、波乱含みの決着となりました。 

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