国際情報

韓国人の70%が反財閥感情を持つ 背景に企業の横暴と癒着等

 大韓航空の前副社長が起こした「ナッツリターン」事件で、韓国企業の世襲経営者に対する批判が高まっている。韓国人作家・柳舜夏氏は、12月10日に発売されたばかりの日韓比較論『韓国人の癇癪 日本人の微笑み』(小学館刊)のなかで、韓国の反企業・反財閥感情について指摘している。

 * * *
 日本や台湾、またはアメリカに比べ、韓国の反企業・反財閥感情はかなり深刻なようだ。それは具体的な数字で提示されたこともある。

「日本:30%、台湾:18%、アメリカ:23%、そして韓国:70%」

 韓国の反企業感情がこれほど深刻な理由としては、「狭量で陳腐な士農工商意識」「反拝金主義思想」「嫉妬深い思想」などを挙げた文を読んだことがあるが、私の考えはまったくの別物だ。

 韓国で反企業感情が高まっている背景には、経済を支配している財閥企業の横暴がある。政治権力と癒着関係にある財閥級企業たちは金の力で中小企業たちを枯渇させ、ついには地域商店街まで掌握し、社長と呼ばれていた人たちまで、大型商店の商奴にしてしまった。

 財閥企業はそうして稼いだ金で、富を持たない人々の気を挫く。挫折させる。嫌悪感を刺激する。2012年の時点で、現代やサムスンをはじめとする十大財閥の総生産はGDP(国内総生産)の80%を占める。三十大財閥の総売り上げはGDPの108%だ。少数財閥と企業集団にGDPがこれほど集中している国は他にないという。国民の生命を握っている財閥企業が横暴を働くのだから、嫌悪感はさらに増すほかない。反企業・反財閥感情が70%というのは、まだ脚色されたましな数字のようだ。さらに高いことも十分考えうる。

 一般人は日給5万ウォン(約5000円)を稼ぐのにあくせくしているのに、財閥企業の会長なる人間は一日に5億ウォンの報酬を得るとさえ言われている。腹立たしいことだが、財閥に与えられた法の“慣習的特権”が持ちだされ、これまで裁判所はぴくりとも動かなかった。

 また、メディアも財閥企業の脱法と道徳的荒廃に目を瞑り続けている。それはなぜか。広告主である彼らの顔色を窺わなければならないからだ。そのような状態で韓国国民に企業を好きになれというのは無理な話だ。たとえるならば、レイプされた相手を愛せと言っているようなものである。

※柳舜夏氏・著/『韓国人の癇癪 日本人の微笑み』より

関連キーワード

トピックス

上原多香子の近影が友人らのSNSで投稿されていた(写真は本人のSNSより)
《茶髪で缶ビールを片手に》42歳となった上原多香子、沖縄移住から3年“活動休止状態”の現在「事務所のHPから個人のプロフィールは消えて…」
NEWSポストセブン
ラオス語を学習される愛子さま(2025年11月10日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまご愛用の「レトロ可愛い」文房具が爆売れ》お誕生日で“やわらかピンク”ペンをお持ちに…「売り切れで買えない!」にメーカーが回答「出荷数は通常月の約10倍」
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《10代少女らが被害に遭った“悪魔の館”写真公開》トランプ政権を悩ませる「エプスタイン事件」という亡霊と“黒い手帳”
NEWSポストセブン
「性的欲求を抑えられなかった」などと供述している団体職員・林信彦容疑者(53)
《保育園で女児に性的暴行疑い》〈(園児から)電話番号付きのチョコレートをもらった〉林信彦容疑者(53)が過去にしていた”ある発言”
NEWSポストセブン
『見えない死神』を上梓した東えりかさん(撮影:野崎慧嗣)
〈あなたの夫は、余命数週間〉原発不明がんで夫を亡くした書評家・東えりかさんが直面した「原因がわからない病」との闘い
NEWSポストセブン
テレ朝本社(共同通信社)
《テレビ朝日本社から転落》規制線とブルーシートで覆われた現場…テレ朝社員は「屋上には天気予報コーナーのスタッフらがいた時間帯だった」
NEWSポストセブン
62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまのラオスご訪問に「感謝いたします」》皇后雅子さま、62歳に ”お気に入りカラー”ライトブルーのセットアップで天皇陛下とリンクコーデ
NEWSポストセブン
竹内結子さんと中村獅童
《竹内結子さんとの愛息が20歳に…》再婚の中村獅童が家族揃ってテレビに出演、明かしていた揺れる胸中 “子どもたちにゆくゆくは説明したい”との思い
NEWSポストセブン
日本初の女性総理である高市早苗首相(AFP=時事)
《初出馬では“ミニスカ禁止”》高市早苗首相、「女を武器にしている」「体を売っても選挙に出たいか」批判を受けてもこだわった“自分流の華やかファッション”
NEWSポストセブン
「一般企業のスカウトマン」もトライアウトを受ける選手たちに熱視線
《ソニー生命、プルデンシャル生命も》プロ野球トライアウト会場に駆けつけた「一般企業のスカウトマン」 “戦力外選手”に声をかける理由
週刊ポスト
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン