王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
「過去の亡霊」が、トランプ政権の外交・安全保障、そして2026年に向けた選挙戦略をどこまで揺さぶるのか。沈黙していた「エプスタイン問題」が、いま再び米政治の中心に浮上しつつある。
問題の核心にあるのは、11歳の少女を含む少なくとも数十人の未成年を対象とする性的搾取ネットワークの“主犯”とされた大富豪である故ジェフリー・エプスタイン元被告(享年66)の存在だ。
2019年8月、ニューヨーク・マンハッタンにあるメトロポリタン拘置所で謎の死を遂げてからも、彼の影は政財学界に深く刻まれたままだ。
というのも、エプスタイン元被告は生前、ドナルド・トランプ大統領と極めて近い間柄にあったからだ。パーティー、資金集め、富裕層ネットワーク──両者はニューヨーク上流社会を共有していた。
エプスタイン元被告は2008年、未成年への性的行為で禁錮18か月の有罪判決を受けたが、連邦検察との異例の「司法取引」によりわずか13か月で出所した。その裏に何があったかは今なお闇の中だ。
2019年には再び未成年者の性的搾取・人身売買容疑で逮捕されたが、約1か月後に本人が拘置所で死亡したことで核心に迫る裁判は不可能となった。死因の不自然さ、管理ミス、監視カメラの不具合──多くの疑問が残されたまま、真相は霧の中に置き去りにされている。
