震災から4年が経ち、被災地の宮城県石巻市も復興に向けて進んでいる。3月21日にはJR石巻線が全線開通したが、その当日、石巻市出身のコラムニスト・木村和久さんは、女川町に行き、新しくなった女川駅をその目で確認していた。木村さんがレポートする。
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新しくオープンした女川駅の駅舎ですが、デザインが近未来的で斬新です。設計は建築家の坂茂さん。なんでも、うみねこの羽ばたく姿をイメージして作ったとか。だから屋根の部分が白くて、羽みたいなんですね。
左右対称で地上3階の建物は、ローカル線の駅にしては大きめです。実は「女川温泉ゆぽっぽ」という、温浴施設が中に入っています。これは以前から、駅の近くにあった施設を駅舎の中に入れて、町民の憩いの場にしようというプランです。
ゆぽっぽの内装や壁画は日本画家の千住博さんが担当。町民の皆さんが描いたデザイン画を樹木の葉や花のデザインに取り込み、見事なタイルアート作品に仕上げてくれました。館内のベンチは、なんと段ボール製、これ紙なの? と思うくらい頑丈できれいです。それは坂茂さんのアイディアで、「人間にも環境にも優しく」をコンセプトにしたからです。
女川駅は線路が1本、ホームも1つ、切符の自動販売機も1つしかない、小さな駅ですが、駅舎はほんと立派です。それは女川町の復興のシンボルとして位置づけられ、町民の願いが込められているからだと思います。
3階の展望フロアから周囲を見回すと360度、何もない空き地が荒涼と広がります。女川町の復興の第一歩が、まさしくこの女川駅舎なのです。
※女性セブン2015年5月14・21日号