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ストリートビューで自宅が写っていたら画像消去求められるか

 多様なサービスを提供するGoogleでも人気のサービスが、家にいながらにして世界中を旅することができる「Googleストリートビュー」だ。ここ最近でも、北陸新幹線の車内や、全国各地の桜の名所など、興味深い場所が次々とストリートビューで楽しめるようになっているが、自宅が写された場合、消去を求めることはできるのだろうか?

【相談】
 友人からの知らせで驚いたのですが、Googleのストリートビューで私の住んでいる地域を閲覧したら自宅が写っているのです。しかも、洗濯物を干してるのが確認できます。この機能が便利だと理解はしていますが、やはりプライバシーの侵害だと思います。画像を消去させる手段はありませんか。

【回答】
 ストリートビューでは表札、顔や車のナンバーなどは、ぼかして特定できませんが、家が写っていれば近所の人なら、どこだかわかります。プライバシーが気になるのは、もっともだと思います。

 人は承諾なしに、みだりにその容貌・姿態を撮影されない自由があります。容貌以外でも、家の中の様子など、他人に知られたくない私生活に関する事項を撮影や公表されると不安になります。その結果、私生活の平穏が侵されるまでになると、プライバシー侵害の不法行為になります。

 しかし、新聞記事やテレビニュースなどでは、報道の自由が優先される場合もあります。最高裁は、個人の写真撮影が不法行為になるかについて「被撮影者の社会的地位、撮影された被撮影者の活動内容、撮影の場所、撮影の目的、撮影の態様、撮影の必要性等」を総合的に見て、被撮影者の人格的利益の侵害が社会生活上の受忍限度を超えるかどうかで判断すべきであるとしています。

 また、記事による私的事項の公表では公表による被害程度、記事の目的や意義、公表時の社会的状況、公表する必要性などから、公表されない法的利益と公表する理由とを比較衡量して判断するとの最高裁判決も参考になります。

 ご質問と同様に、ストリートビューによって自宅が公開された人がGoogleを相手に慰謝料を請求した事件があります。この事件で裁判所は、原告の家が奥まった位置にあり、狙って撮影したものではないことや洗濯物の様子も判然としないという点を挙げ、撮影は受忍限度の範囲内で、公表されても法的に保護されるべき利益侵害とまでは認められないとし、不法行為を否定しています。

 なお、この事件では、精神的に強い苦痛を感じた原告が抗議したら、画像の公開停止の措置が取られました。

【弁護士プロフィール】
◆竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2015年5月8・15日号

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