国際情報

反日を謳う中国共産党政権が日本の天皇に矛先を向けない理由

 あれだけ反日を謳う中国共産党政権が、絶対に矛先を向けない唯一の存在が、天皇である。天皇の持つ歴史や権威が中国にとってそれだけ特別なのはなぜか。産経新聞中国総局(北京)特派員の矢板明夫氏が解説する。

 * * *
 天皇皇后両陛下が4月、戦没者を慰霊するためにパラオを訪問したことを国営新華社通信などの中国の官製メディアが報じたが、日本絡みのニュースを伝える際によく使う批判的な表現はなく、「平和を祈念」「不戦を誓う」といった見出しで好意的に伝えている。

 対日姿勢が厳しい習近平政権が2012年11月に発足して以降、メディアを総動員して反日キャンペーンを展開している。

 安倍晋三首相は「右翼分子」と決め付けられ、何をしても批判された。これまで終戦の日や広島原爆投下の日などの際、安倍首相は陛下と同じように「平和への誓い」を述べたが、「本音を隠している」「戦争への反省が足りない」などと揶揄された。

 習近平政権が日本に対して厳しい態度を取る理由は、国内で自身の権力基盤を固めたい思惑があると言われる。反腐敗の名目で党内の政敵を次々と失脚させ、国内の政局が不安定な状態が続いている。そこで、あえて日本と対決する姿勢を強め、緊張関係をつくることで、国民の注意を外に向けさせようとしていると言われる。

 しかし一方、習政権による日本叩きのターゲットは安倍首相など政府要人に絞られ、皇室に対しては意図的に批判を避けている。それだけではなく、中国メディアはよく陛下の「平和への思い」などを紹介している。天皇は軍国主義を復活させようとしている安倍首相と距離を置いていることを意図的に国民に印象づけようとしているようにみえる。

 中国はよく歴史問題で日本を批判するが、天皇の戦争責任に言及しているのはほとんど歴史の学術書だけで、メディアの報道では、歴史問題と関連づけて天皇を批判することは全くない。中国メディアのこうした姿勢が共産党宣伝部の方針であることは言うまでもない。天皇を政治利用して日本の世論を分断したい思惑があると指摘される。

トピックス

代理人・バレロ氏(右)には大谷翔平も信頼を寄せている(時事通信フォト)
大谷翔平が巻き込まれた「豪華ハワイ別荘」訴訟トラブル ビッグビジネスに走る代理人・バレロ氏の“魂胆”と大谷が“絶大なる信頼”を置く理由
週刊ポスト
スキンヘッドで裸芸を得意とした井手らっきょさん
《僕、今は1人です》熊本移住7年の井手らっきょ(65)、長年連れ添った年上妻との離婚を告白「このまま何かあったら…」就寝時に不安になることも
NEWSポストセブン
暴力問題で甲子園出場を辞退した広陵高校の中井哲之監督と会見を開いた堀正和校長
《広陵高校、暴力問題で甲子園出場辞退》高校野球でのトラブル報告は「年間1000件以上」でも高野連は“あくまで受け身” 処分に消極的な体質が招いた最悪の結果 
女性セブン
大臣としての資質が問われる(写真/共同通信社)
三原じゅん子・こども政策担当相が暴力団とゴルフ写真の“反社疑惑”にダンマリの理由「官邸は三原氏のことなど構っていられない」
週刊ポスト
お仏壇のはせがわ2代目しあわせ少女の
《おててのシワとシワを合わせて、な~む~》当時5歳の少女本人が明かしたCM出演オーディションを受けた意外な理由、思春期には「“仏壇”というあだ名で冷やかされ…」
NEWSポストセブン
広陵野球部・中井哲之監督
【広陵野球部・被害生徒の父親が告発】「その言葉に耐えられず自主退学を決めました」中井監督から投げかけられた“最もショックな言葉” 高校側は「事実であるとは把握しておりません」と回答
週刊ポスト
薬物で何度も刑務所の中に入った田代まさし氏(68)
《志村けんさんのアドバイスも…》覚醒剤で逮捕5回の田代まさし氏、師匠・志村さんの努力によぎった絶望と「薬に近づいた瞬間」
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《ずっと若いママになりたかった》子ども好きだった中山美穂さん、元社長が明かした「反対押し切り意思貫いた結婚と愛息との別れ」
週刊ポスト
2023年ドラフト1位で広島に入団した常廣羽也斗(時事通信)
《1単位とれずに痛恨の再留年》広島カープ・常廣羽也斗投手、現在も青山学院大学に在学中…球団も事実認める「本人にとっては重要なキャリア」とコメント
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《ラーメンにウジ虫混入騒動》体重減少、誹謗中傷、害虫対策の徹底…誠実な店主が吐露する営業再開までの苦難の40日間「『頑張ってね』という言葉すら怖く感じた」
NEWSポストセブン
暴力問題で甲子園出場を辞退した広陵高校の中井哲之監督と会見を開いた堀正和校長
【「便器なめろ」の暴言も】広陵「暴力問題」で被害生徒の父が初告白「求めるのは中井監督と堀校長の謝罪、再発防止策」 監督の「対外試合がなくなってもいいんか?」発言を否定しない学校側報告書の存在も 広陵は「そうしたやりとりはなかった」と回答
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「石破おろし」の裏金議員「入閣リスト」入手!ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「石破おろし」の裏金議員「入閣リスト」入手!ほか
NEWSポストセブン