国際情報

井沢元彦氏 中国共産党続く限り殺しの連鎖止まらないと指摘

 なぜ中国はかくも野蛮な権力闘争を繰り返すのか。中国問題を長年考察し続けてきた作家の井沢元彦氏が、国家としての「構造的欠陥」をえぐり出す。

 * * *
 本物の民主主義国家とニセモノの民主主義国家を見分ける一番簡単な指標は、「野党が存在しているか?」ということである。野党というのは単なる政党ではなく、公平な選挙で勝てば、与党になって政権を担当できるチャンスを与えられている政党でなければならない。

 一党独裁の国家は当たり前の話だが民主主義国家ではなく、世界の多くの国々が民主制を達成している現在となっては、時代遅れの二流国家と断じていいだろう。

 中国はまだ一度も完全な民主主義になった事は無い。それなのにこれまでの日本では、この時代遅れの二流国家を褒めそやす人間がジャーナリストや文化人に大勢いた。本当に情けない話である。

 中国は二流国家であるという表現に、反発を覚えた人もいるかもしれないが、このように順を追って検証してみれば民主主義を採用できているか、できていないかが文明国の必須条件であることが分かるだろう。

 たとえば今度の選挙で自民党が敗北し民主党が政権を奪ったとする。しかし、だからといって自民党議員が全員銃殺されたり牢獄にぶち込まれる事はありえない。アメリカだって、共和党政権が誕生したら民主党の議員が全員殺されるなどという事は、絶対有り得ないことだというのは分かるだろう。これが文明国というものである。

 しかし中国は有史以来、選挙によって政権を交代した事は一度もない。
 
 そもそも共産党独裁国家では、そんな事は出来ないのである。今は習近平体制が続いているが、彼は心の中に常に不安を抱いているはずである。もしライバルの掃討に失敗し、ライバルが権力を掌握するようなことになれば、自分も自分の家族も必ず殺されるか牢にぶち込まれるからである。それを防ぐためには、あらゆる口実を用いてライバルを潰しておくしかない。 

 中国共産党の創設者である毛沢東は、後継者として国家主席までつとめさせた劉少奇を軟禁状態のまま死に追いやった。また続いて後継者に指名した林彪も殺そうとした。自分の権力を奪おうとしたからである。林彪は国外脱出を図り死んだ。乗っていた飛行機が墜落したのである。撃墜されたのだという話もある。

 また、毛沢東の死後、中国の最高権力者になったトウ小平も何度も殺されかけている。一党独裁の体制が続く限り、この「殺しの連鎖」は止まらないだろう。

※SAPIO2015年7月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

24時間テレビで共演する浜辺美波と永瀬廉(公式サイトより)
《お泊り報道で話題》24時間テレビで共演永瀬廉との“距離感”に注目集まる…浜辺美波が放送前日に投稿していた“配慮の一文”
NEWSポストセブン
芸歴43年で“サスペンスドラマの帝王”の異名を持つ船越英一郎
《ベビーカーを押す妻の姿を半歩後ろから見つめて…》第一子誕生の船越英一郎(65)、心をほぐした再婚相手(42)の“自由人なスタンス”「他人に対して要求することがない」
NEWSポストセブン
ネット上では苛烈な声を上げる残念な人がうごめいている(写真/イメージマート)
ネットで見かける残念な人たち…「朝ドラにイチャモン」“日本人じゃないと思う”の決めつけ【石原壮一郎さん考察】
NEWSポストセブン
荒川区には東京都交通局が運行している鉄道・バスが多い。都電荒川線もそのひとつ。都電荒川線「荒川遊園地前」そば(2020年写真撮影:小川裕夫)
《自治体による移動支援の狙いは》東京都はシルバーパス4割値下げ、荒川区は実質0円に 神戸市は高校生通学定期券0円
NEWSポストセブン
阪神の主砲・佐藤輝明はいかにして覚醒したのか
《ついに覚醒》阪神の主砲・佐藤輝明 4球団競合で指名権を引き当てた矢野燿大・元監督らが振り返る“無名の高校生からドラ1になるまで”
週刊ポスト
韓国整形での経験談を明かしたみみたん
《鼻の付け根が赤黒く膿んで》インフルエンサー・みみたん(24)、韓国で美容整形を受けて「傷跡がカパッカパッと開いていた…」感染症治療の“苦悩”を明かす
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
「戦争から逃れてアメリカ移住も…」米・ウクライナ人女性(23)無差別刺殺事件、犯人は“7年間で6回逮捕”の連続犯罪者
NEWSポストセブン
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《眞子さんが見せた“ママの顔”》お出かけスリーショットで夫・小室圭さんが着用したTシャツに込められた「我が子への想い」
NEWSポストセブン
大ヒット上映を続ける『国宝』の版元は…(主演の吉沢亮/時事通信フォト)
《映画『国宝』大ヒット》原作の版元なのに“製作委員会に入らなかった”朝日新聞社員はモヤモヤ  「どうせヒットしないだろう」とタカをくくって出資を渋った説も
週刊ポスト
米マサチューセッツ州で18歳の妊婦が失踪する事件が発生した(Facebookより)
【犯人はお腹の子の父親】「もし私が死んだらそれは彼のせい」プロムクイーン候補だった18歳妊婦の失踪事件「# findKylee(# カイリーを探せ)」が最悪の結末に《全米に衝撃》
NEWSポストセブン
不倫の「証拠」にも強弱がある(イメージ)
「不倫の“証拠”には『強い証拠』と『弱い証拠』がある」探偵歴15年のベテランが明かすまず集めるべき「不貞の決定的証拠」
NEWSポストセブン
違法賭博胴元・ボウヤーが激白した「水原と大谷、本当の関係」
《大谷から26億円送金》「ヘイ、イッペイ。翔平が前を歩いてるぜ」“違法賭博の胴元”ボウヤーが明かした「脅しの真相」、水原から伝えられていた“相棒の素顔”
NEWSポストセブン