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安倍礼賛のマスコミ 報道ダンゴ虫の心象は囚人のジレンマ的

 いまや保守系もリベラルも、テレビも新聞も「安倍礼讃」がマスコミの絶対条件のようだ。この報道ダンゴ虫の心象風景は「囚人のジレンマ(※注)」である。

【※注 囚人のジレンマ:経済学によく用いられるゲーム理論のひとつ。「懲役2年」の共犯者2人に「相手を裏切って自白すれば無罪、逆に黙秘して相手が自白すれば懲役10年」と迫ると、どちらも自白するというモデル。ただし条件には「両方が自白すると2人とも懲役5年」という項目が含まれるので結局どちらも損するのだが、相手が「黙秘」でも「自白」でも、自分自身は自白するほうが得になる(2年→無罪、10年→5年)ので、どちらも自白して刑が重くなるというジレンマ】

 ライバル社が政権ヨイショするなら、自分もしないと抗議書や「出入り禁止」で脅される。ライバル社が安倍批判に転じるなら、そのスキに自分だけ取り入るほうが得──皆がそう考えるからダンゴ虫が出来上がった。

 かつて大政翼賛会ができて「大本営発表」がタレ流された経緯と同じだ。今も昔も、情報統制したいのは権力者でも、その意を受けて自ら権力に取り込まれるのはマスコミのほうなのだ。

 囚人のジレンマでは裏切られて損するのは囚人同士だが、マスコミのケースでは被害者は国民である。権力にすり寄り、特権に酔って、自らを「特別な存在」だと思い上がるマスコミは、しょせん罪深き囚われ人でしかない。

※週刊ポスト2015年6月19日号

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