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佐川一政氏 「少年Aが苦しんでるなら一度会って話したい」

 1997年の神戸連続児童殺傷事件の犯人・酒鬼薔薇聖斗こと元少年Aが、マスコミ各社に文書を送り、自らの世界観を誇示する「公式ホームページ(表題は『存在の耐えられない透明さ』)」の存在を明らかにした。

 自作の作品を掲載した「ギャラリー」には、イラストや写真が全87点アップされ、その中には太陽と月の間に半裸のAが仁王立ちしている写真もある。

 これはAが犯行時に綴ったメモに描かれていた「バモイドオキ神」のイラストに酷似しており、「“自分は神になった”とのメッセージなのかもしれない」(犯罪心理学者・矢幡洋氏)との分析も出た。

 また、イラストにもAの「危険な思考」が見てとれるとの指摘もある。犯罪学者の藤本哲也・中央大学名誉教授は、Aが「胎内回帰願望」を描いたとする作品に注目した。

「彼は犯行当時にも“動機”として胎内回帰願望が指摘されました。殺人の動機となった胎内回帰願望の作品を今も制作しているということは、殺人への衝動がいつ蘇っても不思議ではないと分析できる」

 これらの写真やイラスト以外にも、現在のAの精神構造を読み取れる箇所はある。

「レビュー」と題したページではAが好きな映画や本についての解説が掲載されているのだが、そこで『絶歌』(今年6月に出版した手記)を執筆するにあたり、強く意識した人物を紹介している。

 それは1980年代初頭にAと同じように世を震撼させた「パリ人肉食殺人事件」の犯人・佐川一政氏だ。Aと同じ神戸の出身で、社会復帰した後に複数の著書を出版した。

〈『佐川一政』という稀代の殺人作家の存在は、いつも僕の心の片隅にあった。正直に言えば、彼に“嫉妬”や“羨望”を抱いていた時期もあった〉

 佐川氏は、AのHPをどう見たのか。

「AがHPを始めたのは他者とのコミュニケーション願望でしょう。孤独に対して不安を感じていて、世界とコンタクトを取りたくなったのではないか。メールアドレスまで載せているのは、その証拠だと思う」(佐川氏)

 しかし、Aと佐川氏には決定的な違いがある。佐川氏は実名と素顔を公表しての活動だったが、Aは匿名を守ったままだ。

「『佐川一政』という名前と切り離して、純粋に新人作家として作品を発表して、それで評価してほしいと思っていた。だが、それは受け入れられないことだった。

 きっと彼も何を書こうが『少年A』という名前に縛られ続けるだろう。もしそのことに苦しんでいるならば、一度、彼に会って話をしてみたい」(同前)

※週刊ポスト2015年9月25日・10月2日号

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