ライフ

プラントハンター西畠清順氏 植物の魅力発見に人生懸けたい

プラントハンター・西畠清順氏(イエメンのソコトラ島)と「流血樹」

「これまで30か国以上を訪ねて、1000種類以上の植物を輸入しとるでしょうね。重さでいうたら年間200トンを余裕で超えます。日本が輸入している園芸用の巨木のうち9割はうちが見つけてきたものです」

「プラントハンター」西畠清順氏(34)は、なじみのない植物の魅力を広く伝えるための活動「そら植物園」の代表を務め、企業などとコラボしたイベント、プロジェクトで披露している。その活動の軌跡を記した書籍『プラントハンター西畠清順 人の心に植物を植える』(NHK取材班)も話題となっている。

 11月29日まで福岡市で開催中のイベント「プラントハンター西畠清順の世界7大陸植物園」でも約200種類の珍しい植物を展示している。

 実は西畠氏の生業は花・植木の卸問屋。兵庫県川西市で幕末より続く『株式会社 花宇(はなう)』の5代目社長である。

「21歳の時に世界を放浪しとったんですけど、ボルネオ島のキナバル山で世界最大の食虫植物『ネペンセス・ラジャ』を見て、その圧倒的なグロさと存在感に衝撃を受けたんです。人生観が180度変わった。植物って人の心を動かすことができるんだってことを初めて知った。それで帰国後に実家の会社に入って、修業の毎日が始まったんです」(西畠氏/以下同)

 植物卸問屋の仕事は多岐にわたる。室内緑化のための植物やガーデニング素材としての植物はもちろん、天皇家や銀閣寺などに生け花のための花材を最高の状態で納めている。そんななか、2012年1月に「そら植物園」の活動をスタートさせた。

「うちは150年以上続く問屋。蓄積した知識たるや半端やない。これをベースに植物の魅力を多くの人に知ってもらいたいと思ったんです」

 ユニークな植物があると聞きつけるとどこへでも飛んでいき、自分の目で確かめ、現地の園芸業者や植物卸問屋、コレクターに交渉して輸入。イベントや商業施設を斬新に植物を用いて演出する。

 自分自身が一本一本の植物から感動を得てきた。だから植物の魅力は国籍や人種、性別などを超えて伝わるはずだと信じる。

「面白い植物とその魅力の発見に人生すべてを懸けたい。死ぬまでこれをずーっと続けるんやと思います」

撮影■宮本敏明

※週刊ポスト2015年10月16・23日号

関連キーワード

トピックス

衝撃を与えた日本テレビ系列局元幹部の寄付金着服(時事通信フォト)
《24時間テレビ寄付金着服男の公判》「小遣いは月に6〜10万円」夫を庇った“妻の言い分”「発覚後、夫は一睡もできないパニックに…」
NEWSポストセブン
解散を発表したTOKIO
《国民に愛された『TOKIO』解散》現場騒然の「山口達也ブチギレ事件」、長瀬智也「ヤラセだらけの世界」意味深投稿が示唆する“メンバーの本当の関係”
NEWSポストセブン
漫画家の小林よしのり氏
小林よしのり氏、皇位継承問題に提言「皇室存続のためにはただちに皇室典範を改正し、愛子皇太子殿下の誕生を実現しなければならない」
週刊ポスト
教員ら10名ほどが集まって結成された”盗撮愛好家グループ”とは──(写真左:時事通信フォト)
〈機会があってうらやましいです〉教師約10人参加の“児童盗撮愛好家グループ”の“鬼畜なやりとり”、教育委員会は「(容疑者は)普通の先生」「こういった類いの不祥事は事前に認知が難しい」
NEWSポストセブン
警視庁を出る鈴木善貴容疑者=23日午前9時54分(右・Instagramより)
「はいオワター まじオワター」「給料全滅」 フジテレビ鈴木容疑者オンカジ賭博で逮捕、SNSで1000万円超の“借金地獄”を吐露《阿鼻叫喚の“裏アカ”投稿内容》
NEWSポストセブン
解散を発表したTOKIO(HPより)
「TOKIOを舐めるんじゃない!」電撃解散きっかけの国分太一が「どうしても許せなかった」プロとしての“プライド” ミスしたスタッフにもフォロー
NEWSポストセブン
大手芸能事務所の「研音」に移籍した宮野真守
《異例の”VIP待遇”》「マネージャー3名体制」「専用の送迎車」期待を背負い好スタート、新天地の宮野真守は“イケボ売り”から“ビジュアル推し”にシフトか
NEWSポストセブン
「最近、嬉しかったのが女性のファンの方が増えたことです」
渡邊渚さんが明かす初写真集『水平線』海外ロケの舞台裏「タイトルはこれからの未来への希望を込めてつけました」
NEWSポストセブン
4月12日の夜・広島県府中町の水分峡森林公園で殺害された里見誠さん(Xより)
《未成年強盗殺人》殺害された “ポルシェ愛好家の52歳エリート証券マン”と“出頭した18歳女”の接点とは「(事件)当日まで都内にいた」「“重要な約束”があったとしか思えない」
NEWSポストセブン
「父としての自覚」が芽生え始めた小室さん
「よろしかったらお名刺を…!」“1億円新居”ローン返済中の小室圭さん、晩餐会で精力的に振る舞った理由【眞子さんに見せるパパの背中】
NEWSポストセブン
多忙なスケジュールのブラジル公式訪問を終えられた佳子さま(時事通信フォト)
《体育会系の佳子さま》体調優れず予定取り止めも…ブラジル過酷日程を完遂した体力づくり「小中高とフィギュアスケート」「赤坂御用地でジョギング」
NEWSポストセブン
広島県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年6月、広島県。撮影/JMPA)
皇后雅子さま、広島ご訪問で見せたグレーのセットアップ 31年前の装いと共通する「祈りの品格」 
NEWSポストセブン