ビジネス

世界経済 米は堅調、難民問題抱える欧州も好材料揃ってきた

 世界経済の不安要因として、中国経済の減速に加え、原油安による産油国の経済悪化が指摘されるが、武者リサーチ代表の武者陵司氏は原油安はプラス要因になると指摘する。

「過去の例を見れば、原油価格下落には疑似減税効果があり、価格下落のほぼ1年半後に主要国の経済成長率を押し上げている。原油価格が下落し始めたのは2014年の半ばなので、今年中にも“押し上げ効果”が顕在化し、主要国の成長率が3~4%台に乗る可能性もある」

 主要国のなかでも最大のプレーヤーであるアメリカ経済は堅調だ。

「雇用状況は大きく改善し、所得水準も上昇。それを受けて住宅ブームが再来しそうで、すでに住宅の供給不足が鮮明になってきた。住宅は新たな耐久財の消費につながるため、波及効果は大きい」(武者氏)

 さらに2016年はアメリカにとって特別な年である。三井住友アセットマネジメント理事・チーフエコノミストの宅森昭吉氏が語る。

「大統領選の年は票集めのために景気対策が行なわれるため、GDP成長率が高くなる。アメリカ経済が上向けば、世界中の経済が好影響を受けることになります」

 IS(イスラム国)のテロや難民問題で揺れるヨーロッパも、経済的には明るい材料が出揃ってきた。

「ギリシャの債務問題がようやく峠を越え、金融機関の融資意欲も積極的になりつつある。イタリアやスペインなどの金融危機で冷え込んでいた消費意欲も好転し始めている。さらにECB(ヨーロッパ中央銀行)のドラギ総裁が追加金融緩和の実施を示唆しており、これも経済成長の追い風になるはずだ」(武者氏)

※週刊ポスト2016年1月29日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

衝撃を与えた日本テレビ系列局元幹部の寄付金着服(時事通信フォト)
《24時間テレビ寄付金着服男の公判》「小遣いは月に6〜10万円」夫を庇った“妻の言い分”「発覚後、夫は一睡もできないパニックに…」
NEWSポストセブン
解散を発表したTOKIO
《国民に愛された『TOKIO』解散》現場騒然の「山口達也ブチギレ事件」、長瀬智也「ヤラセだらけの世界」意味深投稿が示唆する“メンバーの本当の関係”
NEWSポストセブン
漫画家の小林よしのり氏
小林よしのり氏、皇位継承問題に提言「皇室存続のためにはただちに皇室典範を改正し、愛子皇太子殿下の誕生を実現しなければならない」
週刊ポスト
教員ら10名ほどが集まって結成された”盗撮愛好家グループ”とは──(写真左:時事通信フォト)
〈機会があってうらやましいです〉教師約10人参加の“児童盗撮愛好家グループ”の“鬼畜なやりとり”、教育委員会は「(容疑者は)普通の先生」「こういった類いの不祥事は事前に認知が難しい」
NEWSポストセブン
警視庁を出る鈴木善貴容疑者=23日午前9時54分(右・Instagramより)
「はいオワター まじオワター」「給料全滅」 フジテレビ鈴木容疑者オンカジ賭博で逮捕、SNSで1000万円超の“借金地獄”を吐露《阿鼻叫喚の“裏アカ”投稿内容》
NEWSポストセブン
解散を発表したTOKIO(HPより)
「TOKIOを舐めるんじゃない!」電撃解散きっかけの国分太一が「どうしても許せなかった」プロとしての“プライド” ミスしたスタッフにもフォロー
NEWSポストセブン
大手芸能事務所の「研音」に移籍した宮野真守
《異例の”VIP待遇”》「マネージャー3名体制」「専用の送迎車」期待を背負い好スタート、新天地の宮野真守は“イケボ売り”から“ビジュアル推し”にシフトか
NEWSポストセブン
「最近、嬉しかったのが女性のファンの方が増えたことです」
渡邊渚さんが明かす初写真集『水平線』海外ロケの舞台裏「タイトルはこれからの未来への希望を込めてつけました」
NEWSポストセブン
4月12日の夜・広島県府中町の水分峡森林公園で殺害された里見誠さん(Xより)
《未成年強盗殺人》殺害された “ポルシェ愛好家の52歳エリート証券マン”と“出頭した18歳女”の接点とは「(事件)当日まで都内にいた」「“重要な約束”があったとしか思えない」
NEWSポストセブン
「父としての自覚」が芽生え始めた小室さん
「よろしかったらお名刺を…!」“1億円新居”ローン返済中の小室圭さん、晩餐会で精力的に振る舞った理由【眞子さんに見せるパパの背中】
NEWSポストセブン
多忙なスケジュールのブラジル公式訪問を終えられた佳子さま(時事通信フォト)
《体育会系の佳子さま》体調優れず予定取り止めも…ブラジル過酷日程を完遂した体力づくり「小中高とフィギュアスケート」「赤坂御用地でジョギング」
NEWSポストセブン
広島県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年6月、広島県。撮影/JMPA)
皇后雅子さま、広島ご訪問で見せたグレーのセットアップ 31年前の装いと共通する「祈りの品格」 
NEWSポストセブン