新聞・テレビにとってなぜ「高市政権ができないほうが有り難いのか(時事通信フォト)
「公明党の離脱によって自民党は窮地に陥った」――どのメディアも判で捺したように高市早苗・新総裁率いる自民党が崖っぷちにあると書き立てている。その背景にあるものとは──。【全3回の第1回】
鬼の首を取ったように「自民苦戦」を書き立てるメディア
まさに政界は一寸先は闇だ。自民党総裁選で高市早苗氏が予想を覆して勝利したのも束の間、今度は公明党が自民党に三行半を突きつけて連立から離脱し、自民党は衆院196議席と過半数に37議席も足りない“超少数政権”に転落した。
自民党は臨時国会の首相指名選挙に向けて国民民主党、日本維新の会との新たな連立の枠組みを目指し、野党側も「野党第1党、第2党、第3党、足し算すると自民党を上回る」(野田佳彦・民主党代表)と、立憲が国民、維新に統一首相候補の擁立を呼びかけるなど、各党の数あわせの駆け引きが続いた。だが、どんな政党の組み合わせになるにせよ、首相候補は自民党の高市総裁と国民民主党の玉木雄一郎・代表の2人が有力だと見ていい。
「高市首相でも、玉木首相になっても政権基盤は脆弱で国会を乗り切るのは難しい。いずれにしても解散・総選挙は近い」
与野党の議員たちは選挙準備を急ぎだした。新聞・テレビも解散風を煽っている。
「わが党が擁立する衆院小選挙区候補への自民党からの推薦は求めない。自民党候補への推薦も行なわない」
公明党の斉藤鉄夫・代表が連立離脱会見で自民党との選挙協力解消を表明すると、
〈自公つないだ選挙協力の幕切れ 「推薦、求めず・行わず」に自民衝撃〉(朝日新聞、10月12日付)
〈「厳しい戦い覚悟」「行き詰まって解散・総選挙なら苦しい」…公明連立離脱、選挙協力の行方に懸念〉(読売新聞、10月11日付)
など、メディアは鬼の首を取ったように「自民苦戦」を書き立てている。