ライフ

熟年離婚が25年で7割増 「夫が見捨てられる常識」に変化も

 結婚して20年以上の夫婦の離婚、いわゆる「熟年離婚」は2014年に3万6800件を数え、25年前の7割増となった。巷間伝えられる多くのケースは「“濡れ落ち葉”となった夫が妻に見捨てられる」というものだが、そんな“常識”に変化が起きている──。

 定年を迎えた夫に離婚を突き付けた妻はセカンドライフを謳歌し、家事に疎い夫は汚れきった部屋でインスタント食品の毎日を過ごす──「熟年離婚」と聞いて思い浮かべるのはそんなイメージだろう。

 だが、その構図に逆転現象が生まれつつあるという。離婚カウンセラーの岡野あつこ氏が語る。

「10年ほど前までは女性が離婚を求めるケースが8割でしたが、現在は男性から切り出すケースが4割に急増しています。夫たちが“この妻と20年近い老後人生を共に歩めるか”を考えて離婚を決断するようになっているのです」

 しかも、「妻と別れる」という生き方を選ぶ理由は「別の女性ができたから」とは限らない。

 東京在住、結婚30年目のA氏(57)は専業主婦の妻(54)との離婚を決意し、現在は別居して離婚協議中だ。

「子供に手がかからなくなってから、妻にはパート勤めや資格の勉強をしたらどうかと薦めましたが、妻は“面倒くさい”と言うばかりで何の教養も身に付けようとしない。当然、会話は家の中の出来事ばかりなので、広がりもなければ長続きもしない。家事はひと通りやっているし、妻を憎む理由もありませんが、ふと残りの人生を考えた時、こんな生活が続いていくことに暗澹とした気持ちになって離婚を切り出しました」

 前出の岡野氏のもとに相談に訪れた結婚35年のBさん(57)は、2人の子供が独立した矢先、金融マンの夫(60)から離婚を求められたという。

「原因はBさんでした。家事は手抜き、打ち込む趣味もなく、専業主婦にあぐらをかく姿に夫は不満を募らせていた。

 夫は財産の管理・運用に積極的で、Bさんは全て夫任せだった。そして旦那さんは彼女に財産分割のリストを記した1枚の紙を差し出した。それを見せられたときに初めてBさんは夫がずっと離婚に向けて準備していたことに気付いたそうです」(岡野氏)

 Bさん夫妻のケースのように、家事をめぐって夫が「老後を一緒に過ごすのは、この女ではない」と離婚を決意するケースは少なくない。離婚問題に詳しいフラクタル法律事務所・田村勇人弁護士はこう言う。

「かつては妻から離婚を切り出されると生活力のない夫が途方に暮れたものですが、この10年で世の中は様変わりしました。

 最近はコンビニ弁当も一人暮らしのシニア層を意識しており、家事代行サービスも充実している。料理や家事ができる男性が増え、妻が不在でも生活に困らなくなってきた。それが離婚を切り出す男性が増えている一因でしょう」

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン