芸能

坂上忍の「質問力」は田原総一朗氏に通じる

予定調和ではない問いかけがリアルを引き出す

 生放送で輝く人は限られるものだ。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が昼の情報番組に言及した。

 * * *
 お昼のテレビ番組『バイキング』(フジテレビ系)が、異彩を放っています。

 テーマを設定し専門家を呼び、ゲストと意見交換するのは他局の番組も似たり寄ったり。ひな壇のゲストや芸人の数など、番組によってそれぞれ違いはあるけれど。もっと根本的なところで、『バイキング』には他とはちょっと質の違う「緊張感」が漂っているのです。

 昨今注目の事件。強姦致傷容疑で逮捕された俳優のテーマについては各放送局横並びで扱っていますが、例えば『バイキング』ではこんなシーンがありました。

 8月26日、ゲスト出演したジャーナリストの江川紹子さんを、MCの坂上忍氏が厳しく批評。そのシーンにびっくりさせられ、また考えさせられるものがありました。

 江川さんは「テレビでこの事件を取り上げると、被害者がまた好奇の目にさらにさらされて傷つく可能性がある」といった趣旨を語り、「私が出演していること自体矛盾してるんですけど、こういう報道もどうなのか」と、番組そのものに疑問を示した。

 そのとたん。坂上氏が言い放った。

「もちろん、ここにいるみんなそのことはわかっている。その上で、番組に出演している。もし江川さんが今そう言うのなら、そもそもこの番組に出てくるべきではない」「『矛盾してる』って一言で片付けてほしくない」

 ストレートに、きっぱり。たしかにそれはそうだろう。正論だった。ジャーナリストの江川さんは押し黙った。

 一つの事件を巡って、テレビが番組を作って報じること。その中に、さまざまな複雑な影響が含まれている。坂上氏の歯に衣着せぬ発言は、意図したかどうかはわからないけれど、そうした帳尻が合わない現実の「複雑さ」を浮き彫りにしていて、生々しかった。

 これは一例ですが、「お約束ごと」の上に成り立っている他番組ではなかなか遭遇しない「リアルさ」が、滲み出てくる瞬間があるのです。

 ではなぜ、そうしたリアルさが生まれてくるのでしょうか? 出演者は、芸人であろうと俳優であろうと、お仕事の面だけでなく、一方では納税し選挙権もある社会人。それは当然のこと。しかし、テレビ画面の中では往々にして、前者の「お仕事」に終始しお約束ごとの中で演じたり発言することが多い。

 ところが『バイキング』には、芸人や俳優たちの「お仕事姿」だけでなく、「社会人としての姿」もひきずり出したり垣間見えてしまう瞬間が。それもこれも、予定調和を揺るがす質問がMCから投げかけられるから。

 ちなみに、俳優の強姦致傷容疑事件以前からこの番組では社会的なテーマを積極的に扱っていました。「五輪費用問題」「住宅トラブル」「シングルマザー」「東京都知事選」「築地市場移転問題」……。

関連記事

トピックス

足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
山下智久と赤西仁。赤西は昨年末、離婚も公表した
山下智久が赤西仁らに続いてCM出演へ 元ジャニーズの連続起用に「一括りにされているみたい」とモヤモヤ、過去には“絶交”事件も 
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平の伝記絵本》水原一平容疑者の姿が消失、出版社は「協議のうえ修正」 大谷はトラブル再発防止のため“側近再編”を検討中
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン