◆「自分に全てぶつけてください!」

 そうして力を尽くした舟津が予選会敗退後、OBたちを前に話した「魂の挨拶」を全言掲載したい。上級生たちはうつむき、ハチマキがトレードマークの4年エース町澤大雅が「すいませんでした」と叫ぶ。絶望感が漂う空気の中、舟津はマイクを取ることもなく話し始めた。

「最初に、多くの応援をいただき、本当にありがとうございました! 多くの沿道の声援が選手の力となり、予選通過とまではいきませんでしたが、しっかりと変わった姿を見せられたと思います。

 自分が主将になって、先輩方に迷惑をかけながら3か月間、しっかりやってきました。先輩方も自分をサポートして下さいました。試合を見て頂いてもわかる通り、中央大学が『前に出てレースを作る走り』、『しっかりと貪欲にタイムを狙っていく走り』、見て頂いたと思います。11位という、あと一歩の順位で本当に申し訳ありませんでした!」

 普通ならここで終わりだが、舟津は違う。

「この夏、多くの課題を持ってやってきました。外部から、心ない声や、“本当に今年大丈夫なのか”と多くの声を頂きました」

 一瞬だけ顔を歪めた後、舟津はトーンを上げた。

「でも自分たちは“やれる”と思いながら、今までやってきました。それに対しては誰も文句は言えません!」

 取り巻くOBたちから目を逸らさない。

「もし、先輩方に文句を言うような人がいれば、自分が受けて立ちます。自分に全てぶつけてください! 先輩に心ない声や、そんなことを言うような人がいれば、自分は許しません!」

 深呼吸をひとつする。

関連記事

トピックス

木本慎之介
【全文公開】西城秀樹さんの長男・木本慎之介、歌手デビューへの決意 サッカー選手の夢を諦めて音楽の道へ「パパの歌い方をめちゃくちゃ研究しています」
女性セブン
綾瀬はるかが結婚に言及
綾瀬はるか 名著『愛するということ』を読み直し、「結婚って何なんでしょうね…」と呟く 思わぬ言葉に周囲ざわつく
女性セブン
強く、優しく、凜とした母を演じる石田ゆり子(写真/NHK提供)
《『虎に翼』で母親役を好演》石田ゆり子、プロデューサーや共演者が驚いた“愛される力”「ストレスかかる現場でも動じない人」
週刊ポスト
「夢みる光源氏」展を鑑賞される愛子さま
【9割賛成の調査結果も】女性天皇についての議論は膠着状態 結婚に関して身動きが取れない愛子さまが卒論に選んだ「生涯未婚の内親王」
女性セブン
羽生結弦のライバルであるチェンが衝撃論文
《羽生結弦の永遠のライバル》ネイサン・チェンが衝撃の卒業論文 題材は羽生と同じくフィギュアスケートでも視点は正反対
女性セブン
“くわまん”こと桑野信義さん
《大腸がん闘病の桑野信義》「なんでケツの穴を他人に診せなきゃいけないんだ!」戻れぬ3年前の後悔「もっと生きたい」
NEWSポストセブン
中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
中森明菜
中森明菜、6年半の沈黙を破るファンイベントは「1公演7万8430円」 会場として有力視されるジャズクラブは近藤真彦と因縁
女性セブン
食品偽装が告発された周富輝氏
『料理の鉄人』で名を馳せた中華料理店で10年以上にわたる食品偽装が発覚「蟹の玉子」には鶏卵を使い「うづらの挽肉」は豚肉を代用……元従業員が告発した調理場の実態
NEWSポストセブン
昨年9月にはマスクを外した素顔を公開
【恩讐を越えて…】KEIKO、裏切りを重ねた元夫・小室哲哉にラジオで突然の“ラブコール” globe再始動に膨らむ期待
女性セブン
17歳差婚を発表した高橋(左、共同通信)と飯豊(右、本人instagramより)
《17歳差婚の決め手》高橋一生「浪費癖ある母親」「複雑な家庭環境」乗り越え惹かれた飯豊まりえの「自分軸の生き方」
NEWSポストセブン
店を出て染谷と話し込む山崎
【映画『陰陽師0』打ち上げ】山崎賢人、染谷将太、奈緒らが西麻布の韓国料理店に集結 染谷の妻・菊地凛子も同席
女性セブン