国際情報

論語の失われた2篇が発見されるもその価値に評価分かれる

論語の新篇を発見か(孔子像)

 中国の思想家で、後世に大きな影響を与えた孔子の言葉をまとめた「論語」のなかの2篇とみられる竹簡が新たに発見された。これが論語の新篇だと認定されれば、歴史上の大きな発見になるとみられる。香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が報じた。

 論語は、孔子と高弟の言行を孔子の死後、弟子達が記録したもので、「孟子」「大学」「中庸」とあわせて儒教における「四書」の一つ。

 論語には通常3種類あり、孔子の故郷の現在の山東省の南部、魯地方に伝えられた「魯論語」、山東省北部の斉地方に伝承された「斉論語」、孔子の旧家の壁の中から発見された「古論語」。

 篇数や順序もそれぞれで少しずつ違っているが、後漢時代(25~220年))末期に「魯論語」が現在伝わっている論語としてまとめられている。

 現在の論語は全20篇で構成され前10篇を「上論」、後10篇を「下論」と呼ぶこともある。

 今回発見されたのは3種類の論語のうちの「斉論語」とみられる。論語の新たな内容とみられる2篇の竹簡が発見されたのは中国内陸部の江西省で、西漢時代(紀元前202年~208年)の王の墓の跡から掘り出された。王の墳墓は4万平方mという広大なもの。

 斉論語と現在の論語は構成が違い、斉論語の方が2篇多い。いわゆる「問帝」(皇帝に問う)と「知道」(道を知る)で、その竹簡が発見されたという。

 この2篇が伝えられなかったのは、秦(紀元前778~同206年)の始皇帝が行ったとされる孔子の書を焼き、儒者を穴に生き埋めにするという「焚書坑儒」によって失われたからだという。

 それが、偶然にも江西省の王の墳墓から斉論語が発見されたのではないかとみられている。

 これについて、ある孔子専門家は「あらたに孔子の論語のなかの2篇が発見されたことで、孔子研究に新たな要素が加えられ、より正確な孔子像が描かれるのではないか。そうなれば、大きな発見であり学術的にも大きな成果だ」と称賛する。

 しかし、他の専門家は「すでに論語は研究が尽くされており、わずかに2篇が発見されたとしても、全体像からみれば、ほんの一部でしかなく、孔子研究に及ぼす影響は微々たるもの」と学術的成果を低く見積もるなど、評価が分かれている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
相川七瀬と次男の凛生君
《芸能界めざす息子への思い》「努力しないなら応援しない」離婚告白の相川七瀬がジュノンボーイ挑戦の次男に明かした「仕事がなかった」冬の時代
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト