国内

政府が上から目線で罰則付き残業規制をするのは的外れ

大前研一氏が政府案に物申す

 政府は「働き方改革」の目玉として、長時間労働を是正するために残業時間を制限する罰則付きの労働基準法改正案を検討している。経営コンサルタントの大前研一氏に言わせれば、仕事には「定型業務」と「非定型業務」があり、時間ではなく成果で図る仕事である「非定型業務」は残業規制の対象として適していないという。この政府の「働き方改革」が、いったいどのような意味を持つのか、大前氏が解説する。

 * * *
 かつて、ナイキの創業者フィル・ナイト氏は、こう述べていた。

「よく『レストランを開きたい』と言う人がいる。しかし、厨房で1日23時間働く覚悟がなければ、やめたほうがいい」

 私自身も、マッキンゼーに入社してからの数年間は自宅で夕食をとったのが週末も含めて年に数回だけという状態だった。しかし、若い時はその仕事を覚えたい、インパクトの出せる人間になりたい、とアンビション(野望)を持って夜も寝ずに働くことも貴重な経験になる。そういう人間がいなければ、日本はただの“受命拝命”専門の労働者の集団になってしまう。

 たとえば、マッキンゼー時代の部下でDeNA(ディー・エヌ・エー)創業者の南場智子さんは、毎日午前3~4時まで残業し、寝る間も惜しんで働いていた、と語っている。経営コンサルタントの仕事は典型的な非定型業務だから評価は時間の関数ではないし、ましてや残業代は出ない。そういうきつい仕事を経験しながら成果を出してきたから、南場さんは起業しても成功したのである。

 私が起業家養成学校「アタッカーズ・ビジネススクール」を20年間にわたって運営してきた経験から言えば、起業してしばらくは睡眠時間2~3時間が当たり前だ。事務所や店で寝袋で寝て、昼も夜も土日もなく働く。事業計画の策定も銀行に提出する資料の作成も営業も雑巾がけも、すべて自分でやる。そうした状況が最初の何年かは続くのだ。

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