九州場所は多くの人気のご当地力士が登場する(JMPA、以下九州場所写真は同)
江戸の大関より土地の三段目…。相撲には番付に関係なく地元出身力士を応援する文化があるが、年に一度の九州場所もご多分に漏れずご当所力士が注目される。幕内の土俵入りで平戸海、義ノ富士、正代、美ノ海、佐田の海などは大きな声援を受けて土俵に上がる。特にまだ髷が結えずにチョンマゲの入幕3場所目で、新四股名で臨む熊本出身の義ノ富士(草野から改名)には横綱に匹敵する声援が送られた。
今場所は初日にタレントのデヴィ夫人が登場したことで土俵周りも注目されたが、ちょっとした異変が起きていた。協会関係者はこう話す。
「国技館では溜席観戦が常連のデヴィ夫人が座っていたのは西花道近くのマス席だった。九州場所では角界に顔が広いデヴィ夫人ですら溜席に座れないぐらいチケット入手が困難になっている」
国技館で行なわれる東京開催場所と違い、チケット販売を行なう相撲茶屋がない九州場所は長く人気低迷の象徴だったが、到来した空前の相撲ブームで昨年は初日を迎える前に15日間が完売。今年も15日間完売となっている。前出・協会関係者が続ける。
「昨年の理事改選で九州場所担当部長に就任した直方市出身で人気力士だった浅香山親方(元大関・魁皇)の営業努力の成果とも言えるが、九州場所は年1回の開催。九州一円に加え、山口や広島からもファンが集まるため、ブームとなれば動員力が違う。有望なご当地力士が多くいることもチケット不足に拍車をかけている」
それでも、土俵上のご当地力士への大声援と同じく、溜席でも九州場所ならではの光景を初日から見ることができた。
