創価学会といえば、長年にわたり指導者的立場にいる池田大作名誉会長が伝説的な存在として知られる。池田伝説には、名誉会長就任前の若かりし池田青年の話もたくさん口伝されている。その伝によると、若き頃の池田名誉会長は人一倍、布教活動に情熱を燃やし、寝る間を惜しんで日本全国を寝台列車で移動したという。
当時、寝台列車は日本全国でたくさん走っており、池田名誉会長はそれらを駆使した。睡眠時間は移動時間のみ。過酷ではあるが、池田名誉会長は乗り鉄が驚くようなスケジュールを組み、寝台列車を乗りこなしていた。当時、乗り換え検索アプリはないから、時刻表を眺めて乗車スケジュールを組んでいたはずだ。
その乗りこなしの軌跡は、テツオタでも舌を巻くレベルにまで達している。だから、池田名誉会長は鉄道が好きなのではないか? と鉄道ファンの間でささやかれるほどだった。
長年の疑問が、氷解したのは約10年前。創価学会の本拠地として知られる東京・信濃町を訪れたときのことだった。信濃町には、あちこちに創価学会関連施設が立地しているが、そのひとつに常楽会館という信者の休憩・交流施設がある。
同施設は信者しか入館できないが、創価学会の友人に誘われて中に入ってみると、そこにはHOゲージと呼ばれる鉄道模型が所狭しと飾られていた。施設の職員の説明によれば、「創価学会は発展途上国の近代化にも貢献している。各国が経済発展のお礼として、インフラ整備の象徴である鉄道の模型を贈ってくる」のだという。
鉄道が都市開発や経済発展に欠かせないインフラであることは否定しないが、そのお礼として一般的ではないHOゲージという大きな模型を贈るというのは解せない。仮に各国からHOゲージが寄贈されたとして、それを誇らしげに展示する理由は、マニア特有のコレクションを人に見てもらいたい願望が心の片隅にあるからなのではないか?
鉄道模型を収集するマニア、いわゆる模型鉄は多くいる。日本国内において模型鉄の主流は、一般的に広く知られるNゲージだ(実物の1/148 から1/160の模型)。Nゲージは量販店でも販売しているので入手しやすく、値段も手頃。置き場所にも困らない。
一方、HOゲージは専門店に行かなければ買うことは難しい。実物の1/87とNゲージに比べてサイズが大きいため、展示・保管する場所を確保するにも一苦労。ジオラマも比例して大きくなるから、走らせて遊ぶにも広大なスペースが必要になる。最近はNゲージを走らせられるバーやカフェなどもあるが、HOゲージを走らせられる場所を見つけることは容易ではない。
常楽会館のHOゲージ展示には、テツ特有の繊細さやこだわりも感じられた。寝台列車を乗りこなしたという武勇伝にくわえ、展示されたHOゲージを見て、池田名誉会長は間違いなく鉄道が好きなのだと確信した。
今や公明党・創価学会と鉄道は、切っても切り離せない関係になっている。それだけに”こうめい鉄道部”の活動は、テツのみならず政治ウォッチャーにとっても無関心ではいられないだろう。