◎“友七緒”は先輩に“奈々央とも”さんがいらっしゃり、逆にした名前は紛らわしいので却下です(おぉー!!!そうだった、素敵な先輩がいらした!)
◎“展七緒”は展がのりとは読みにくい(やはりかぁー)
◎“展みき”読みにくい上に、のり巻きみたいに聞こえないか?(な、な、な、なんと!!)

 こうして私はスタート地点に戻った。母も、「もう、何でもいいじゃない!」なんて、あり得ないザックリとした意見で私を驚愕させる。

 そんな焦りの中、母もそれでGO! となったのが、今まで出た姓と名の組み合わせを変えた〝友みき〟であった。何かヤケにあっさりしているが…ともみき…ともみき…何度も口に出したり書いてみたり。うーむ!? と悩みに悩んだある朝、寮に母からの電話、母「マヤってどう?」。急に入りこんできた言葉にまたもや驚愕した。“マヤ”?…何で?

「お釈迦様のお母様は“マヤ”っていうんだって、神社のかたが教えてくださったのよ。あとね、晴子(アメリカに長く住む母の妹だ)が、マ行ではじまる日本人の名前は外国ではかわいく聞こえるって前に言ってたの思い出したの」と、母もあまりに決まらず、まずはと拝んでくれていたのか、そんな神社さんのお話から“マヤ”はやってきた。

 正直、初めて聞くマヤはピンとこなかった。しかしそこにピンっ! と決定づけることが。それは“まや”の“ま”だった。当時、授業をサボってまで観劇に通った大地真央さんの“真”をいただけたら私のテンションは確実に上がる。そんな熱き思いから“真”が決まった。男名前を避けての本名の“みき”を名前につけて“まやみき”、これはどうだろう!?

“や”の字はどうしよう? 母「貴方、お守りより破魔矢を毎年初詣で欲しがるから“矢”にしたら?」。何だかバタバタとしていた芸名選びがマヤと出てからパタパタときれいに整頓されるように話が進んだ。“真矢みき”…勿論、宝塚から即座に決定と出た。

 あれから“真矢みき”として35年くらいが過ぎた。結婚して姓も変わり私の記憶の深いところに仕舞い込まれた私の本名の時代。結局、姓も名も共に母のアイディアで決まった芸名だけど、あの頃の母の閃きと踏ん張り。四つの思いが入った懐かしいドタバタした思い出の芸名探し。

 あの日から本名と別れるなんて知らずに必死で新しい名前を探していた。“初心忘るべからず”と、芸名から時おり本名の私を思い出している。

撮影/渡辺達生

※女性セブン2017年5月25日号

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