例えば、党大会の改革だ。自民党は毎年1度、都内ホテルの巨大宴会場で数千人規模の党大会を開く。現状は地方からのベテラン党員が大半だが、若い夫婦や子どもも来やすい「全世代参加型」の環境に一新する。ずばり、「0歳からの党大会」を打ち出すのだ。実際に小泉が今年3月、地元で開いた「0歳からの活動報告会」にその雛形が見て取れる。
〈赤ちゃんが泣いてもいい。子どもが走り回ってもいい。政治を、もっと身近にしていきたいから。演説会に来てみませんか。〉
街頭のポスターでそう告知した通り、会場に特大塗り絵コーナーやベビーカー置き場、授乳室を設け、参加者に配布する資料の式次第には細かい時間割を明記した。政治家が主役ではなく、司会に徹し、地域の住民に話を聞く。子どもがタイムキーパーを担い、壇上の話が長引くと楽器を鳴らす。政治集会なのに、笑いが絶えなかった。
「選挙権年齢が18歳からになって僕なりにいろいろ考えた。政治参加は18歳ではなく0歳からでいいという考えを浸透させたい」
そうした発想で若き新規参入者の受け皿を作るには「10代自民党の結党」なる奇策を打つこともアリだ。
(敬称略)
●とこい・けんいち/1979年、茨城県笠間市生まれ。ネット企業、出版社勤務を経て、2017年、「小泉純一郎独白録」(月刊文藝春秋)で第23回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞受賞。著書に『保守の肖像 自民党総裁六十年史』『誰も書かなかった自民党 総理の登竜門「青年局」の研究』など。
※SAPIO2017年9月号