ビジネス

池上彰氏が語る「AI、ロボット時代の人間の仕事」

◆いかに「人間」ならではの能力を発揮するか

 それでも、池上氏は「必要以上に恐れることはない」として、新時代に応じた能力を身に付けるためのヒントを提示する。

〈たしかに融資条件の審査はAIが得意とするところですが、融資とは最終的に人間を見てお金を貸すことです。機械的な審査では担保が足りなくても、経営者の人を見て融資に踏み切ることで、大きなリターンを得た例は枚挙にいとまがありません。あのトヨタ自動車だって戦後に倒産寸前に追い込まれたとき、ほかの銀行がそっぽを向く中で三井銀行(当時)が手を差し伸べ、それによって窮地を脱したからこそ、今日の繁栄があるのです。

「人を見る融資」は共感力を持つ人間にしかできません。AIに代替されるといわれる仕事でも、人間だけが持つ能力を研ぎ澄まして発揮することで、むしろ状況を有利に変えられるのです。〉

 AIと対峙するのではなく、その長所や可能性を理解した上で、いかに「人間」ならではの能力を発揮するか──そんな発想の転換が求められている。

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