日常生活のなかで気をつけておくべきは「火」の問題だ。火事になったら、自分だけではなく近隣住民をも巻き込むことになる。
「キッチン周りは最新のものに買い替えることを勧めます。ガスコンロを最新のものに変えるだけでも、点火しっぱなしだと自動的に消える機能や吹きこぼれ防止装置があって、安全性が大きく違います」(同前)
民間のサービスを利用するのも有効だ。警備保障会社「セコム」の「高齢者見守りサービス」や、電気ポットを使うことで家族に安否情報が届く「象印マホービン」の「みまもりほっとライン」など、選択肢は増えている。
「ヤクルトでは、商品を届ける販売員が安否を確認する“愛の訪問活動”を自治体とも提携してやっており、全国の4万人以上のお年寄りが利用しています。『倒れたところに出くわした』『ガス漏れに気づいた』といった報告例もあります」(同前)
「備え」があってこそ、身軽な老後が楽しめるのだ。
三村氏は、特に男性には「70歳イコール20歳」説があると忠告する。
「奥さんが亡くなったり、離婚したりしてそれまで奥さんが管理していた年金や資産を自分が管理するようになると急に気が大きくなる人がいます。ちょうど男の子が20歳になって“大人だ、何でもできる”と思い始めた頃に似ているといわれ、その頃と同じ過ちをするものです。その自覚を持ったうえで、一人の生活を楽しんでほしいです」
※週刊ポスト2017年9月29日号