「がんの緩和ケアに使用されるモルヒネも便秘の原因です。モルヒネは脳で作用すると痛みを抑制する働きをしますが、腸にもモルヒネの受容体があり、そのモルヒネにより腸が動かなくなって、ひどい便秘になります。大腸がんの初期でも便秘になることがありますが、便秘を放置していると血便が出て、進行した大腸がんだったという症例もあります」(中島主任教授)
便秘になると手軽に市販薬を服用するが、危険もある。病院や薬局で処方される酸化マグネシウム製剤はそのひとつで、重篤な副作用も出ており、特に高齢者に対する使用には注意が必要だ。またセンナなど刺激性・依存性が強い薬剤は長期間の使用で耐性ができ、効果が得られなくなった事例も多い。なんにせよ、便秘の原因を早めに特定し、症例に応じた適切な治療を受けることが重要となる。
■取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2017年12月1日号