大前研一氏


 カジノ売り上げ世界一のマカオも2014年以降は年間売り上げの対前年比マイナスが続き、昨年ようやく4年ぶりに対前年比プラスの約3兆7000億円になったが、その額はピークだった2013年の約5兆円を25%も下回っている。

 6月の米朝首脳会談の際に北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長も訪れたIRの「マリーナ・ベイ・サンズ(MBS)」と「リゾート・ワールド・セントーサ(RWS)」があるシンガポールも、2015年以降は売り上げが伸び悩んでいる。

 堅調に成長しているのはアメリカのラスベガスだが、ここはもう「売春とギャンブルの街」ではない。1990年代にテーマパーク型ホテルとコンベンション施設を整備してボクシングなどのスポーツイベント、シルク・ドゥ・ソレイユ、人気歌手のコンサートなどを誘致し、カジノ中心のビジネスから展示会・見本市や国際会議、そしてファミリー・デスティネーション(家族旅行の目的地)に路線を転換した。

 その背景となったのは、ニューヨークやボストンなどの冬が寒い北東部で働いていた人たちがリタイア後、年中温暖なラスベガスに続々と移り住むようになったことである。彼らが子供や孫、友人たちに遊びに来てもらうためには、売春とギャンブルの街というイメージを払拭し、エンターテインメントやショッピングが楽しめる健全な街にシフトしなければならなかったのだ。結果、ホテルや街全体がテーマパークの中にいるような「非日常」を提供することで、アメリカ全土はもとより世界中から観光客を呼び込むことに成功したのである。

 振り返れば、1999年にマカオがポルトガルから中国に返還された後、2002年に中国政府がカジノライセンスを外国資本にも開放し、マカオにラスベガス系を中心に豪華なカジノホテルが相次ぎ開業した。その後、ラスベガスはマカオにカジノ売り上げ世界一の座を奪われたが、カジノ以外のショーやイベント、飲食、ショッピング、宿泊でしっかり稼いでいる。

関連記事

トピックス

所属事務所は不倫を否定(時事通信フォト)
《星野源と新垣結衣が完全否定》「ネカフェ生活」NHK・林田理沙アナとの疑惑拡散の背景「事務所が異例の高速対応」をした理由
NEWSポストセブン
幼稚園をご訪問され、子供たちに声を掛けられた天皇陛下
天皇皇后両陛下が幼稚園をご訪問 工作の様子を見守られ「どんなものができるのかな」と笑顔で声をかけられる場面も
女性セブン
杉咲花と若葉竜也に熱愛が発覚
【初ロマンススクープ】杉咲花が若葉竜也と交際!自宅でお泊り 『アンメット』での共演を機に距離縮まる
女性セブン
5月に入り病状が急変し、帰らぬ人となった中尾彬さん
【中尾彬さん逝去】数か月体調優れず、5月に入って容体が急変 葬儀は近親者のみ、妻・池波志乃さんは憔悴しながらも参列者に感謝
女性セブン
スキャンダル写真で芸能界を震撼させた『BUBKA』
《90年代アイドルを震撼させた月刊誌『BUBKA(ブブカ)』》の創刊編集長が急死していた スキャンダル写真で物議「スクープ100万円」「複数訴訟」の全盛期
NEWSポストセブン
新しいヘアースタイルの大谷翔平
《大谷翔平の新ヘアスタイル》“切ってもらうと成績が向上する”と評判の美容師が担当 ソウルで水原被告と一緒にカット、料金は大谷が支払う
女性セブン
全国赤十字大会ではスピーチに目を潤ませる場面もあった(4月、東京・千代田区。写真/JMPA)
『虎に翼』を楽しんでいらっしゃる雅子さまと愛子さま 女性天皇への期待高まるなか、揺れるお立場に「日本初の女性弁護士の物語」を重ねられて
女性セブン
女子ゴルフ界の新星として注目を集める清本美波
【プロテストでトップ合格】女子ゴルフ界の新星・清本美波、女子大生と二足のわらじを履く18歳「目標はタイガー・ウッズ」
週刊ポスト
フリーになるも苦戦が続く上重聡アナ
《超大型連休続く?》元日テレ・上重聡アナ、「交渉しまして」古巣復帰の苦境 根強い“利益供与問題”のイメージ、自虐ネタに活路か
NEWSポストセブン
詐取の疑いで逮捕された元宝塚“大滝子”こと光原エミカ(HPより)
《『水ダウ』ざます企画に出演》元宝塚・月組トップスターが現金1000万円詐取の疑いで逮捕「ディナーショーが8万円に値上がり」ファンが察知した違和感
NEWSポストセブン
亡くなったシャニさん
《7か月を経て…》ハマスに半裸で連行された22歳女性が無言の帰宅、公表された最期の姿「遺体の状態は良好」「肌もタトゥーもきれいに見える」
NEWSポストセブン
中尾彬さん(時事通信フォト)
《“ねじねじ”で愛された中尾彬さん(81)が急逝》大病を機に始めていた“終活”、コワモテ俳優からコメンテーターとして人気を博した晩年
NEWSポストセブン