「会社では社交的で、冗談を言って盛り上げるムードメーカー。忙しい部署で残業も多かったけれど、イライラしたり文句を言ったりということは一切なかったですし、優しくて仕事ができたから女性社員の人気も高かった」

 育児に熱心で、近所の評判や会社の評価も上々に思われたが、再婚後すぐに虐待は始まっていた。山脇さんは「このタイプの夫こそがもっとも危険だ」と指摘する。

「外ではいい人を演じきるため、ストレスを発散することができない。だから外のストレスをすべて家に持ち帰ってきて、爆発させてしまう。しかもその怒りは家族の中で最も弱い人間である子供に向く傾向にある」

 その子供が“連れ子”であれば虐待のリスクはさらに高まる。

「母親の連れ子で、実子が生まれると虐待が始まるというパターンは非常に多く見受けられます」(山縣教授)

 その背景には本能と嫉妬がある。精神科医の片田珠美さんが解説する。

「継父が連れ子を虐待するのは、自分のDNAを残したいという本能と、妻の前夫への嫉妬によると考えられます。前者は動物としての本能、後者は人間の原始的な感情なので、頭では『虐待は悪いこと』とわかっていても、理性で抑えるのが難しい」

※女性セブン2018年11月8日号

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