芸能

杉本彩、動物愛護活動を続けるが「日本は動物福祉後進国」

動物愛護活動に長年携わる杉本彩(撮影/田中智久)

 バラエティー番組『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ系)の名物企画「捨て犬ゼロ部」でも取り上げられた広島県の神石高原町にあるNPO法人「ピースウィンズ・ジャパン」が運営する“殺処分ゼロ”プロジェクト「ピースワンコ・ジャパン」。番組では、清潔な施設の中で、保護された犬たちは元気いっぱいに走り回っていたが、その実情は必ずしもそうではないという。

「テレビに映ったのは施設のほんの一部だけ。ピースワンコ・ジャパンは大きく広島県内で4つのシェルターに分かれており、前出の施設は誰もが見学できるうえ、里親が見つかりそうなフレンドリーな犬ばかりを集めた、いわば“表の顔”。公開されていない施設では、狂犬病の予防注射すら打たれず、狭い檻の中で悲鳴を上げる保護犬たちがいたんです」

 そう話すのは、昨年6月から今年1月まで、獣医師としてピースワンコ・ジャパン(以下、ピースワンコ)のサポート活動をしていた竹中玲子先生。実際に、広島県警は11月20日、「ピースウィンズ・ジャパン」と代表らを書類送検した。保護犬25頭に狂犬病の予防注射を受けさせておらず、狂犬病予防法や県の条例違反の疑いがあるという容疑で、代表らはこれを認めている。

 竹中先生によると、ピースワンコの保護施設は劣悪な環境で、多くの命が失われていったとのことで、内部からの声を受け、複数の動物愛護団体が動物愛護管理法違反でピースワンコを告発した。

 なぜ犬たちにとって保護されるべき場所が生き地獄と化したのか。実態を知る竹中先生と、動物愛護活動に長年携わり、今回の告発に名を連ねる杉本彩(50才)が語った。

 ピースワンコは2020年の東京五輪までに、全国の犬の「殺処分ゼロ」をスローガンとしている。確かに広島県の犬猫を合わせた殺処分数は、かつて全国ワースト1を記録したが、2011年度は2342頭もいた犬の殺処分が、2016年度以降はゼロに。

杉本:行政による動物の「殺処分ゼロ」という目標は、すばらしいことだと思います。しかし、数字だけを追いかけ、ただ生かしておけばいいというスタンスは、あまりにも人間本位です。現に、引き取られた犬たちはストレスにより長期にわたって苦痛を強いられている。

竹中:「殺処分ゼロ」と喧伝すればメディアにも注目され、寄付も集まる。ですが、狂犬病の予防接種すら手薄な状況で、寄付金がきちんと使われているとは到底思えません。

杉本:寄付金について言及するならば、ピースワンコは、本拠地である広島県の神石高原町へのふるさと納税という形で、2017年は5億円以上もの寄付を集めています。自治体への納税として、一民間団体が収入を得ていることにも大きな違和感を覚えます。

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