ファーウェイにとって1つの転機となったのは、2015年秋にグローバル展開した「Nexus 6P」という商品だった。このNexusシリーズ(2016年からは名称がPixelに変更)は商品企画や商品設計は米国のグーグルが行う、いわばグーグルの純正スマホで、アンドロイド端末では最速で最新のOSが搭載される。このNexusシリーズはこれまで、韓国のサムスンやLG、台湾のHTC、中国のモトローラといったメーカーが製造を受託してきた。
このうち、モトローラはもともとグーグル傘下だったが中国のレノボに売却されている。グーグルに近かったこともあり、モトローラの端末はグーグル純正端末同様、素のアンドロイドOSが採用され、ほかのメーカーのように使わない余計なアプリがたくさんプリインストールされていることもない。また、素のアンドロイドOSだけに、OSの更新も他メーカー製より比較的早いようだ。
そして、2015年秋に登場した前述のNexus 6Pがファーウェイ製。グーグル純正端末を手がけたことで、ファーウェイのステージは一段、上がったといえる。実際、同機はハイエンド端末で、登場した頃は日本円で8万円ぐらいだった。日本では商業的に成功したとは言い難かったが、ファーウェイのイメージを上げた端末になったことは間違いない。
SIMフリースマホの端末価格帯は、下はいまでも1万円台や2万円台のものもあるが、売れ筋は3万円台、上を見ると10万円以上のスマホもある。
その中でファーウェイ陣営は、ボリュームゾーンで販売数量が稼げる3万円台のラインナップを豊富に揃える一方、フラッグシップ的な位置づけの、高価格帯の品ぞろえも増やしてきた。コスパで圧倒する普及価格帯の商品で販売数を稼ぎながら、ハイエンド機でブランド力も上げていくという両面作戦の商品投入量は、他社を圧倒してきた。
いまでは、ファーウェイのラインナップは、比較的若年層向けとなる「honor」や「nova」シリーズと、さらにボリュームゾーンの「P」シリーズ、ビジネス用途を主眼としたハイエンドの「Mate」シリーズなど、多彩なラインナップを擁し、日本市場も重視している。
また、価格比較サイトのスマホ人気ランキング(12月9日時点)を見ると、10位までにファーウェイの端末が6機ランクインし、しかも上位ランクは軒並みファーウェイが占めていた。
11月28日、ファーウェイ最高幹部がまだ逮捕されていなかったこの日、ファーウェイ・ジャパンは最新のハイエンド端末「Mate 20 Pro」(この時点での市場想定価格は税抜きで11万1880円)の発表会を行った。
登壇した同社のデバイス・プレジデントの呉波氏は、商品プレゼンの際、「世界でのシェア2位」「日本でのSIMフリースマホのシェア1位」「キャリア向けとSIMフリー端末を合わせたスマホシェアでも初めて上位5位」「アンドロイドタブレットでも1位」などをアピール。
併せて、Mate 20 Proの商品優位性について、「iPhone XSマックス」やサムスンの「Galaxyノート9」、グーグルの「Pixel 3 XL」といったライバル機との比較を交えて語っていた。