大阪都の誕生は国政にも影響を与える。
中央政界では、今回のダブル選挙は維新の後ろ盾である菅義偉・官房長官と維新に対立候補を立てて陣頭指揮を執った二階俊博・自民党幹事長の「代理戦争」と呼ばれ、勝った菅氏の発言力が増し、二階氏の影響力が低下するとみられている。
実際、菅氏は選挙戦終盤に維新の勝利を確信するように「しっかり改革してほしい」と都構想にエールを送り、“敗軍の将”二階氏は「党が真剣にやっている最中に意識的にサボタージュするということがあったとすれば、それはけしからんことだ」と自民党候補の応援に入らなかった菅氏を暗に批判した。
しかし、「西の首都」建設となればコトは政界実力者同士の陣取り合戦にはとどまらない。国政政党・日本維新の会幹事長で大阪維新の会副代表を兼務する馬場伸幸・代議士は「東京五輪の後は大阪の時代が来る」と語る。
「『政治の東京、商いの大阪』と言われたように大阪には昔から経済都市のポテンシャルがある。東京はいま再開発ブームだが、五輪が終わると一段落する。その次は万博やリニア延伸などの大型プロジェクトを控えた大阪が再開発と経済活性化の中心になっていく。大阪都構想というのは東京一極集中を改める政策で、中央集権を覆す一歩になる」
当然、そのためには時の政権の協力が欠かせない。その意味で、第1次安倍政権の総務大臣時代から「地方分権」推進の立場をとってきた菅官房長官が政権内で力を増していることは橋下氏や維新にとって心強い援軍に違いない。