未だに続くマスク争奪戦(AFP=時事)
「検査対象とするかどうかは、基本的に医師の判断に委ねられています。ところが現実には医師が“新型コロナに感染した可能性がある”と保健所に検査を依頼しても、人手不足などを理由に断られるケースが全国で多発しています」(前出・全国紙社会部記者)
事態を問題視した日本医師会は2月26日、保健所が検査を拒む実態を全国の医師会を通じて調査し、改善を求めるとの見解を発表した。現場の医師たちも困り果てているのだ。そうした門前払いだけでなく、“たらい回し”も発生している。
「熊本県内で最初に感染が確認された20代女性は咳や熱の症状が続くなか、3日間で3つの医療機関を受診して、最後の病院でようやく医師が保健所に連絡して検査を受け、陽性と診断されました。その間、ずっと娘を車で送迎していた父親は、県内2例目の感染者になり、母親も陽性となりました。医師が保健所を通さず検査をできていれば、両親への感染は防げたかもしれません」(前出・全国紙社会部記者)
政府は感染拡大を避けるため、「症状が軽い人は自宅療養を求める」と基本方針を発表している。しかし、それは状況を悪化させるだけだ。ナビタスクリニック理事長の久住英二さんが指摘する。
「病院に行っても検査もできない、治療法も不確か、それどころか病院に行くこともダメという政府のメッセージは、多くの人々を不安に陥れるだけです。まずは可能な限り検査を進める必要があります」
※女性セブン2020年3月19日号