ちなみに首相補佐官との「コネクティングルーム不倫」で週刊誌を賑わせ、クルーズ船対応では『引き続き感染拡大防止に向けて万全の体制をとって参りたい』と記者会見で説明するなど、スポークスマン的な役割を務めた厚労省の大坪寛子審議官も感染研の出身だ。検査以外にも感染研には様々な権益が集中していると前出・上氏は語る。
「感染研は国立がん研究センターのような独立行政法人ではなく、国立のため国の予算がつき、その中には大学病院などに研究費として回せるものもある。さらにワクチンの製造から評価までの実質的な許認可権を持っているため、ほとんどの大学の研究者は感染研に頭が上がらない」
その強大さゆえ、“感染症ムラ”の住人が厚労省や感染研と異なる主張をするのは難しいのだ。
厚労省は「症状が軽い人は自宅療養を求める」と重症者以外への検査を拡大しない基本方針を示した。納得できない国民は多いが、一部の専門家はこの姿勢に同調する。
2月25日のNHK『ニュースウオッチ9』には専門家会議のメンバーである押谷仁・東北大学大学院教授が出演し、「軽い症状だけど心配だから病院に行くとなると感染が広がる。感染している可能性がある人はできるだけ家にとどまってほしい」と解説した。
3月3日の同番組には、前述した専門家会議メンバーで感染研OBの岡部氏が出演。「相当数やるとなると、精度の問題とか、ある程度目をつぶらなければいけなくなってくる。余裕を持ってる時間がないとぎっちぎちでやるのはリスクになる」と発言した。