新型コロナウイルスによる肺炎は、世界各地で感染者が増え続けて脅威を増している。日本でも未知なるウイルスとの闘いが長期戦に及びそうな雲行きだが、感染拡大のスピードなどから、今後どうなれば「小康状態」、そして「終息」といえるのだろうか──。ニッセイ基礎研究所・主席研究員の篠原拓也氏が説明する。
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新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、世界保健機関(WHO)は、3月11日、「パンデミック(世界的な大流行)とみなせる」と表明した。これにより、世界各国で感染地域への渡航中止勧告や、感染地域からの外国人の入国禁止措置などが取られている。
日本でも、集団感染を避けるために、小中高校の臨時休校や在宅勤務、外出自粛などの拡大防止策が続けられている。政府は、換気が悪く、人が密に集まって過ごすような空間に集団で集まることを避けるよう注意を促しているが、こうした措置によって感染拡大のペースは落ち着くのか。そして、どうなれば小康状態に至り、終息宣言が出せるのか。少し考えてみたい。
◆集団感染を防ぐカギは「潜在的な感染者」
現在の拡大防止策は、集団感染を防ぐことを重視している。感染のピーク時の患者の発生を、病床数や医師・看護師の数などのキャパシティ以下に抑えることと、ピークの到来を先送りして医療体制を整備したり、医薬品を開発したりする時間を確保する狙いがあるといわれている。
これは、発症して医療施設で受診する患者以外にも、潜在的な感染者がいることを想定したものだ。潜在的な感染者には、感染したが発症前の人(発症前感染者)、症状が出ない人(不顕性感染者)、症状は出るが医療施設で受診しなくても軽症で治る人(軽症感染者)がいる。こうした潜在的な感染者も、感染力を持つ場合がある。
その場合、発症して受診した患者を隔離しても、潜在的な感染者からの感染を防げなければ、感染は拡大してしまう。
それでは最近の感染症ではどうだったのか、みてみよう。