その後も「村井理論」は進化を続けた。電子基準点の1週間ごとの上下動の「異常変動」、長期的な上下動の「隆起・沈降」、東西南北の「水平方向の動き」という3つの指標を総合的に分析する方法に加え、昨年以降はAI(人工知能)による危険度判定を導入している。
今年7月からは衛星画像を解析し、1か月以内に、どのエリアで、どのくらいの規模の地震が起きるのかを予測する「ピンポイント予測」も実用化した。村井氏が最後に語る。
「地震予測を始めてから10年ほどは周囲から“変な老人”として扱われましたが、我々は数多くの地震を予測してきました。これからも『地震被害から逃れたい』という国民の要請に応じられるよう、地道に地震予測を続けていきたいと思います」
ドラマでは田所博士の予言が的中し、日本が沈没の危機に見舞われる。現実でも、異端の研究者が発する警告に耳を傾けたい。
※週刊ポスト2021年11月12日号