「1シーズンの過ごし方に慣れ、心技体が最も充実してくるのが6~7年目辺りなのかもしれません。昨年の岡本や村上のように若過ぎると、プレッシャーを感じてしまい、重圧を自分でコントロールできないこともある。しかし、中堅クラスになった時にその経験を活かせるし、6~7年目はまだ自分の伸び代を信じてがむしゃらに進める年齢です。
逆に、ベテランになると、過去の経験から自分がどれぐらい打てるか予測が立ってしまう場合もあり、安定した成績が残せる反面、キャリアハイまでは狙いにくくなる。だから、実績があって風格も出てきながらも、成長力を感じられる6~7年目に最高の本数を打つ選手が多いのかもしれません」
もっとも10年目以降にキャリアハイを記録したホームラン打者もいる。通算3位の567本塁打を放った門田博光(南海→オリックス→ダイエー)はアキレス腱断裂を挟んで、33歳の12年目に自己最多の44本を放ち、不惑の40歳で迎えた19年目のシーズンにも44本で本塁打王に輝いた。通算4位の536本塁打の山本浩二(広島)は31歳になる9年目に自己最多の44本を打ち、その年から5年連続40本以上をマークした。
「過去の大打者を見ると、早熟タイプと大器晩成タイプがいると思います。6年目で48本を打った掛布雅之(阪神)は31歳の年に再三ケガに見舞われ、33歳で引退した。王貞治の868本を抜くとまで期待された清原和博(西武→巨人→オリックス)は5年目に自己最多の37本を打ち、200号までは最年少記録を更新したが、最後のシーズン30発以上は30歳のシーズンで、その後は印象に残る活躍はありましたが、ケガに泣いた。
若い頃から注目され、人気チームで働くと精神的な負担も大きい。20代前半から活躍している岡本や村上は今後、いかにケガをせずに過ごせるかもポイントになるでしょう」
歴代のホームラン記録を比較していくと、改めて王貞治の凄さが実感できるだろう。22歳で初めてホームラン王に輝いてから13年連続でキングを獲得し、巨人という人気チームで9年連続日本一のV9を達成。40発以上13年、45発以上10年、50発以上3年を記録し、37歳でも50本塁打を放っている。その間、欠場もほとんどなかったのだ。はたして岡本や村上はレジェンド級の選手になれるか。