子供の頃の写真を見て、感受性を取り戻す
羽生結弦選手が北京五輪で、4回転アクセルに挑んだ際、「9才の自分と一緒に跳んだ」と記者会見で明かしていた。「これは、自分の内受容感覚を知る上で最も大事なこと」と、高畑さんは言う。
「子供の頃は感受性が強い傾向にありますが、大人になると論理的思考が高くなり、感受性が弱くなります。すると、子供の頃に純粋に楽しめていたものが、素直に楽しめなくなったり、感情に響かなくなったりします。論理的思考は、仕事をする上では大切なものですが、自分の内面を知る、メンタルを保つ上では、子供の頃の感受性を取り戻すことは必要です」(高畑さん・以下同)
手っ取り早いのは、自分の子供の頃の写真を見ることだ。
「プロ野球選手には時々、野球小僧だった時代の写真を見てもらうようにしています。写真を見ると、純粋に野球が好きだった子供時代の感情を思い出し、原点に立ち返るので、自分にとって何が大事なのか、そのためにどうすればいいのかが明確になるのです」
自分の内なる声に耳を傾け、それに従えば、何があってもぶれなくなるようだ。
【プロフィール】
脳内科医・加藤俊徳さん/加藤プラチナクリニック院長。脳の学校代表。これまで1万人以上の脳を診断、治療を行う。近著に『名医が実践する 脳が変わる超・瞑想』(サンマーク出版)がある。
メンタルトレーナー・高畑好秀さん/アスリートや囲碁・将棋士、芸能人らにメンタルトレーニングの指導を行う。近著に『不安定な世の中を生きる7つのヒント 心を強くする小さな習慣』(ザメディアジョン)がある。
取材・文/廉屋友美乃 イラスト/坂木浩子(ぽるか)
※女性セブン2022年4月21日号