国内

【追悼】安倍氏が「晋三」という名になった理由、そして“普通の家庭”への憧れ

2007年、安倍改造内閣・記者会見する安倍首相(写真/時事通信フォト)

2007年、安倍改造内閣・記者会見する安倍元首相(写真/時事通信フォト)

 7月8日、午前11時半ごろ、奈良県の大和西大寺駅付近で安倍晋三・元首相が銃で撃たれ、亡くなった。第1次政権を含め、3188日という通算在任日数は憲政史上最長。政治家としての安倍氏の実績はよく知られているが、ひとりの人間としての実像はあまり知られていない。40年超の政治記者人生を安倍家取材に費やし、『安倍晋三 沈黙の仮面』著者でもある政治ジャーナリスト・野上忠興氏の取材資料を元に、安倍氏の人生を振り返る──。

 1960年。東京・渋谷の南平台にあった岸信介氏の邸宅には、連日、日米安保条約改定に反対するデモ隊が押し寄せた。いわゆる60年安保闘争だ。

 その岸邸の中では、まだ5歳と幼かった安倍晋三氏と兄・寛信氏(当時7歳)がデモ隊の口まねをして、「アンポハンターイ! アンポハンターイ!」と繰り返すのを岸氏がニコニコしながら見ていた──安倍氏が政治の「原体験」としてよく語るエピソードである。

 だが、その背景に、甘えたい盛りの時期に両親が不在がちだったという家庭の事情があったこと、幼心に感じていた孤独が隠されていたことはほとんど語られていない。

 安倍氏は毎日新聞政治部記者だった父・晋太郎氏と岸の長女・洋子さんの次男として1954年9月に生まれた。2つ上の兄・寛信氏(三菱商事パッケージング元社長)が父方の祖父・安倍寛氏と母方の祖父・岸信介氏から1字ずつ受け継いだのに対し、安倍氏は父の「晋」の字をもらったものの、次男なのに「晋三」と名付けられた。母の洋子さんに、なぜ「晋三」なのかと聞いたことがある。

「主人も私も女の子を欲しかったが、2人目も男の子だった。父(岸氏)は喜んでいましたが。名前の由来はよく聞かれますが、晋二より晋三の方が字画が良いとか。主人も字の据わりが良いからとはじめから『晋三だ』といいました」

 安倍氏の誕生は、まさに岸氏が権力への階段を駆け上がっていった時期に重なる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

日本のブライダルファッションの先駆け的存在、桂由美さん
《芸能人も多数着用》桂由美さんが生前嘆いていた「ナシ婚」 ウエディングドレスで「花嫁を美しく幸せにしたい」強い思い
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
小野寺さんが1日目に行った施術は―
【スキンブースター】皮下に注射で製剤を注入する施術。顔全体と首に「ジュベルック」、ほうれい線に「リジュラン」、額・目尻・頰に「ボトックス」を注入。【高周波・レーザー治療】「レガートⅡ」「フラクショナルレーザー」というマシンによる治療でたるみやしわを改善
韓国2泊3日「プチ整形&エステ旅行」【完結編】 挑戦した54才女性は「少なくとも10才は若返ったと思います!」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
日本人パートナーがフランスの有名雑誌『Le Point』で悲痛な告白(写真/アフロ)
【300億円の財産はどうなるのか】アラン・ドロンのお家騒動「子供たちが日本人パートナーを告発」「子供たちは“仲間割れ”」のカオス状態 仏国民は高い関心
女性セブン
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン