「怒りをためると交感神経が緊張して、心拍数が上がって末梢の血管が締まり、血圧が急上昇します。発散できないままずっとイライラ、ピリピリしていると血管に負担がかかり、脳卒中や心筋梗塞など循環器系の疾患になりやすいうえ、血圧が上昇して動脈硬化が進むと認知症のリスクも増します。一方、怒りのもととなるストレスを無視せず、それに上手に立ち向かう人は、免疫力が上がるとの報告もある」
大平さんによれば、うまく怒りを発散できれば、体にも影響があると続ける。
「怒りの発散は一種の運動です。発散している最中はジョギングや水泳と同じで交感神経が緊張して心拍数が上がり、うまく発散できると副交感神経が優位になって心身ともに落ち着きます」
相手を傷つけない限り、怒りを表に出すことは悪くないと高橋さんも声を揃える。
「私もSNSなどで怒りを表明することがありますが、ため込んでずっとモヤモヤしているのならば、早く言ってしまった方がいいという考えです。理由のある怒りで、自分が許せないと思うことに声を上げれば共感してくれる人もいるはずです。それに、医療の世界でも、誰かの怒りや不満を汲み取って新たな薬や商品が開発されることは多い。怒りの感情は新しいものを生み出すきっかけにもなるのです」
※女性セブン2023年4月20日号