放送中の村上里和アンカー。「おっとりとして品のいい話し方が好き」とファンも多い。6時間の長丁場に備え、放送3日前から体調を整えるという。「体力的にはきついですが、とても楽しい」(村上さん)

放送中の村上里和アンカー。「おっとりとして品のいい話し方が好き」とファンも多い。6時間の長丁場に備え、放送3日前から体調を整えるという。「体力的にはきついですが、とても楽しい」(村上さん)

世代交流が生まれた「みんなの子育て☆深夜便」

 村上さんの提案で始まった「みんなの子育て☆深夜便」のコーナーは、いまや10~90代まで、世代も性別も超えた交流の場となっている。

「きっかけは、20代の若いママからのお便りでした。深夜、授乳で眠れないとき、民放ラジオは刺激が強すぎるし、テレビはママも赤ちゃんも覚醒してしまう。そこで深夜便を聴いてくださったそうです。たまたま、私が絵本『ぐりとぐら』の作者である中川李枝子さんにお話を聞いた回で、保育士でもある中川さんが、『子育てって本当に大変よね。だけど、子供はお母さんのことがいちばん好きだから、自信を持って頑張って』とおっしゃった。そのママは、中川さんが自分に直接アドバイスをくださったような気がして、涙があふれたのだそうです。

 私自身、授乳中はものすごく孤独で、夜中に起きているのは自分だけのような気がしていたことを思い出し、そんなママやパパに向けた番組をやってみたいと企画を提案したんです。2018年に放送したところ好評をいただき、コーナー化となりました」(村上さん・以下同)

 深夜便という番組の中で、子育て世代向けのコーナーを作ることに反発する声はなかったのだろうか。

「もちろんありました。『私たち高齢者の大切な番組なのに、若い人向けのコーナーを作るなんて。その日は絶対に聴きません』という厳しいお手紙もいただきました。

 ただ、決して限定された世代だけの番組にはしないと決めていましたので、Q&A的なお悩み相談にせず、ただひたすら思いを受け止めシェアすることを第一に始めました。

 すると、徐々に『私たちのときはこう乗り越えたから、いまはつらくても大丈夫よ』など、子育ての先輩である高齢者のリスナーから、アドバイスや応援のお便りがたくさん届くようになったんです」

 こうして「みんなの子育て☆深夜便」は、自然発生的に世代間交流の場になっていった。

「“公共の場で子供が泣くと、周りから責められているように感じる”というママの悩みにも、『応援している人もたくさんいることを忘れないで』『泣いている子に渡せるよう、いつもシールを持ち歩いている“シールじいじ”がついているよ』といった微笑ましいエールもありました。ラジオの中の温かいつながりが、現実の世界にも広がっていったらいいなあと思いますね」

 また、「子育て世代間ギャップ」をテーマにした回では、各世代のリスナーから率直な意見が寄せられた。

「こんなに年代の違う人たちが意見交換できる場ってそうそうない。深夜便の可能性ってすごいんです」

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