日本で同じような立場にあったのが、勝海舟である。彼は幕臣つまり徳川将軍の家来であるが、徳川家が天下を朝廷に返さない限り日本は近代化されないとわかっていた。だからいささかも怯むこと無く、本来は敵であるはずの薩摩や長州とよしみを通じ日本の近代化を成し遂げた。辛辣な歴史家は勝のことを「主家の葬送人」を務めたと批判したが、日本の強烈なライバルでもあった大院君(李カ[カは日の下に正]応)は勝のことを激賞したという。いったい何を褒めたのか? 勝自身が書き残している。
〈大院君も、たうとう死んでしまつたノー。この人については、種々の批評もあるが、とにかく一世の偉人だ。君はかつておれを、東海の英傑だといつて、朝廷には誠忠をもつて事へ、徳川氏の宗廟を絶たないやうに處置した功績は、千載不朽だと賞めてくれた(以下略)〉
(『氷川清話』講談社刊)
これと同じである。だから李完用は「祖国を近代化に導きながら李王家の宗廟を絶たないように處置した」のであり、「この功績は千載不朽」なのだが、そんな褒め方をする歴史家、歴史学者は朝鮮半島にはほとんどいない。私の知る限り、そう述べているのは『親日派のための弁明』の著者金完燮ぐらいだろうか。しかし、この本は韓国では事実上の発禁処分を受け、李完用は相変わらず「極悪人」のままである。
なぜそうなるかと言えば、【1】韓国人がそもそも朱子学という亡国の学問の呪縛の恐ろしさがわかっていないということ(その証拠に、いまだに朱子学者を1000ウォン札の「顔」にしている)、【2】大日本帝国が崩壊したとき比較的うまくいっていた日本人と朝鮮人を分断するため、アメリカが反日の李承晩をトップに据え反日教育を推進させたこと、【3】共産主義が正しいとする韓国内の北朝鮮派が教育を支配し、事実と反する反日教育をさらに推進したこと、などが挙げられる。そうした教育の結果、韓国人のなかには日本より北朝鮮が好きという人が珍しくない。
しかし、あの国は豚のように太った指導者が自分の家を守るために核ミサイル開発に血道を上げ、その結果多くの国民を人間としてもっとも惨めな死である餓死に追い込んでいる国である。逆に、日本は韓国に対してさまざまな経済援助や技術支援をしており、そのことが韓国の地位の向上におおいに貢献したのは間違いの無い事実であるし、そもそも昭和二十年以降も以前も日本が韓国人を組織的に餓死に追い込んだことなど一度も無い。にもかかわらず、現在も同じ民族を餓死に追いやっている国のほうが日本より好きだと言うのだから、もはや言う言葉が無い。
一刻も早く、この迷妄から韓国は脱するべきだろう。日本のためにでは無い。韓国自身のために、である。もっとも日本もつい三十年ぐらい前までは、こうした左翼勢力のインチキ学者やインチキ報道機関の天下であり、北朝鮮がミサイルや軍事衛星を開発しているという事実を述べると、「右翼」だと批判された。冷静に考え事実を見ればわかることである。
韓国人は子供のころから日本のことを冷静に考えられないように教育、いや洗脳されている。もう一度言うが、事実に照らし冷静に考えればわかるはずである。いつまでも騙されているのは愚かとしか言いようがない。これはもちろん日本人も噛みしめるべき言葉である。