ギャンブルから一切はなれたきっかけ
ああ、明日の返済、どうしようかな。それにしてもこんな生活、いつまで続けるのかと思ったら不意に涙が出た。深夜、人気のない公園で私はおいおい泣いた。もう生きていても仕方がないかなと思ったりしてね。32歳だった私は53歳になっていた。
ところが人生、何があるかわからない。その年、私はあることがきっかけでギャンブルからいっさい離れたんだよね。
「ギャンブル依存症は治りません」
もうすぐ67歳の私が我が身の恥を晒す気になったのは、今回、水原一平さんのことで繰り返し報道されているこの言葉だ。
そんなことない、と私は言いたい。現に私は沼から抜けて14年、年に一度だけ有馬記念は親族とするけれど勝っても負けてもその時だけ。てか、ギャンブルって時間の無駄じゃね? なんて言っている自分に驚く。
どうしてやめられたか? それはタバコをやめたからなの。医師から禁煙ができるとは聞いたけど、ギャンブルまでやめられるとは聞いてないし、第一、ギャンブル依存症なんて言ってない。なのに何? 禁煙外来に通ってタバコを吸う気が失せたら、どうしたことか、一か八かと聞いても脳が興奮しなくなったのよ。
ギャンブル依存症で苦しんでいる人は一度、専門家に相談したら開く道が必ずあると、私は体験的に信じている。
人生、一色だけじゃつまらない。変えたい時が変えるときだ。見たことがない色の扉がきっと待っているよと、公園で泣いていたかつての私に言ってあげたいんだよね。
水原さんもそう。今は自ら袋小路にはまり込んだみたいでどこにも出口がないと思っているだろうけど、まだ39才! まっとうになる道はいくらでもあるし、この先、迷惑をかけた人に謝る機会は絶対にあるよ。
なんたって大谷さんとキャッチボールできる素人なんか滅多にいないんだから。