一般論で言えば、母親や姉の言いなりで妻の立場に立とうとしない夫というのは、女性ウケはよろしくないと言えます。それにひきかえ、大谷さんは妻をきちんと公表しつつ、過度な取材を慎むようにけん制するなど、メディア対策もうまいと大谷アゲ羽生サゲする人もいるでしょう。
けれど、私に言わせると、どちらがうまいとか正しいという話ではなく、羽生さんの家が妻を迎える準備ができていなかった、つまり結婚のタイミングがよくなかったのだと思うのです。
上述したとおり、スーパースターというのは、いろいろな目論見を持った人が近づいてきてしまうことがある。ですから、スターの家族が他人に対して警戒心が強くなったとしてもおかしくないと思います。けれど、いつまでも人を疑っているわけにもいかない。それでは、どうすれば相手を信頼できるのか。それは羽生さんの祖母の言葉に集約されているように思います。
『現代ビジネス』の取材に対し、祖母はこう答えています。
「ゆづには、ふつう結婚する場合は、お互いの家族に紹介し、それぞれの家庭を行ったり来たりして互いを何となく知り、それから結婚を決めるもんだよって伝えました。やっぱり、ゆづは子どもだったんですよ」
祖母がおっしゃるように、二人の気持ちだけで結婚を決めず、羽生さんの家族と元妻が密にコミュニケーションを取り、どうぞお嫁に来てというウェルカム体制を整えることができていたら、“軟禁状態”とも言われた結婚生活にはならなかったかもしれません。どちらが悪いという話ではなく、結婚を急ぎ過ぎた、もしくは結婚そのものをするタイミングではなかったのだと思います。
大谷は騒動をきっかけに“金銭管理”を変更?
ところで、「起こったことは、みんないいこと」という言葉をご存じでしょうか? これは依存症治療のモットーで、依存症は消し去りたい記憶であるかもしれないけれど、起こるべくして起きたことなのだから、悔いたり自分を責めたりしないで、自分を変えるチャンスにしていこうという意味です。
もちろん大谷選手も羽生さんも依存症ではありませんが、今は生き方を変えるタイミングと捉えたらどうでしょうか。今回のことをきっかけに、大谷さんは金銭管理などを、妻にも相談しながら進めるようになると私は予想しています。もちろん、金額が金額なだけに専門家などもかかわってくると思いますが、夫婦で話し合い、お金のことを含めて生活感覚を持つことは、家庭の充実につながるでしょう。何より妻に感謝することが増えますから、二人の絆が強くなると思うのです。
男女平等、ジェンダーフリーがこれだけ叫ばれているのに、アスリートの妻には判で押したかのように控えめかつ献身を求めるのってヘンなことだと私は思います。こんな騒動の中でも、大谷選手は今シーズン1号のホームランを打ったそうで、よかったよかった。メジャーリーガーは家族を大事にすると聞いたことがありますが、大谷さんには野球だけでなく、家庭や家族を大事にする二刀流でお願いしたいものです。
【プロフィール】
仁科友里/フリーライター。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ』(主婦と生活社)。