国内

佐藤優氏 テレビ出ないのは「テレビの取材文化が嫌い」だから

「国家機密の争奪戦」が激しさを増している中でメディアの役割が問われている。作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏がテレビに出ない理由を説明する。

* * *
ジャーナリズムは社会の木鐸であるとか、国民の知る権利を保障する機関であるという議論から出発すると、事柄の本質が見えなくなる。マスメディアはほぼ全て株式会社だ。株式会社の目的は、「金儲け」である。資本主義社会における「金儲け」という制約条件を無視して論じるメディア論は現実に影響を与えない。

だからメディアスクラムと呼ばれる報道が過熱した状況になると、違法行為を行なうメディアはいくらでも出てくる。

私自身の体験について記す。2002年の鈴木宗男疑惑の時に筆者もメディアスクラムの対象になった。

自宅の前にはいつも記者が張っている。ゴミを集積所に出すとすぐに持ち去る人がいる。メディアに雇われている人で、ゴミの中から何か役に立つ書類が出てこないか探しているのだ。筆者が捨てたゴミの所有権は、行政に移っているので、ゴミを持ち去ることも厳密に言えば窃盗だ。

喫茶店や薬局に入ってもその様子を隠し取りするテレビ記者がいる。そうしなければ競争に遅れてしまうという焦りからこういう行動を取るのだ。

さらにメディアスクラムが過熱すると、自宅の郵便箱から手紙が抜き出され、開封した上で再び戻されているようになった。これは刑事犯罪だが、異常な興奮状態になるとメディア関係者は一線を越えることに関する抑制が利かなくなるというのが私の経験則だ。特にテレビメディアにその傾向が強い。

それだから、私は原則としてテレビ出演は断わることにしている。このようなテレビの取材文化が嫌いだからだ。

※SAPIO2011年1月26日号

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン