国内

枝野幸男官房長官 総選挙の年の生活費は295万円だった

 歴代最年少で官房長官に就任した民主党の枝野幸男氏。自ら繰り返す政治家としてのアピールポイントは「クリーン」に尽きる。そこで本誌は、枝野氏の政治資金収支報告書を紐解く。下表(※)をご覧いただきたい。

 枝野氏はこの数年、収入の大半を政治団体に寄附している。本人寄附の額は2003年には1000万円強だったが、2006年以降は毎年1700万円前後を寄附している。寄附総額は7年間で、1億円を超える。

 国会議員の所得等報告書によると、枝野氏の所得は議員歳費(報酬)、弁護士報酬、テレビの出演料や講演料を合わせて毎年2200万円前後だから、差額の約500万円で夫婦子ども2人の家族4人が生活している計算になる。

 資産公開を見ると、政権交代を賭けた総選挙の前年大晦日(2008年12月31日)には、預貯金(定期口座)の残高がゼロだった。不動産や有価証券もなく、資産は車3台だけである。この数字を見ると、台所は火の車だったと想像される。

 とはいえ、枝野氏は現在、東京・赤坂の衆院議員宿舎に住み、家賃は月額約9万2000円だ。これは民間より格安とはいえ、光熱費もかかる。義父母からの300万円の「仕送り献金」や建設業者代表の「100万円」がなければ、歳費からの持ち出しがもっと多くなり、生活費は残らなかったことだろう。

 不思議なのは、総選挙が行なわれた2009年には収入の8割を寄附し、その差額、つまり生活費は407万円だったはずなのに、投開票日の8月31日には預貯金が前年末の0円から、112万円に増えていることだ。

 他に収入は報告されていないから、この年は生活費を295万円に切り詰めたことになる。そこから家賃や食費、教育費、光熱費を支払えば……一体、どうやって生活していたのだろうか。

 国会議員には、歳費とは別に毎月100万円の「文書通信交通滞在費」が議員の個人口座に振り込まれる。非課税で使途報告義務のない「掴みガネ」とされるが、公式には、「公の通信や文書の発送など議員活動のために支給され、個人の収入にはできない」(衆院事務局広報課)。

(※)枝野氏の「所得」と「寄附」の金額
年度/所得/寄附/差額
09年度/2012万2816円/1605万3411円/406万9405円
08年度/2142万8286円/1650万円/492万8286円
07年度/2243万5303円 /1700万円/543万5303円
06年度/2249万24円/1700万円 /549万24円
05年度/2206万7338円/1037万2498円/1169万4840円
04年度/2135万2288円 /1000万円/1135万2288円
03年度/2150万7266円 /1116万0311円/1034万6955円

「所得」は、議員歳費、弁護士報酬、講演料や原稿料などの合計。「寄附」は、枝野氏が政党支部と自身の関係政治団体に献金した額の合計

※週刊ポスト2011年2月11日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト